研究課題/領域番号 |
25460388
|
研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
坂井 隆志 徳島文理大学, その他の研究科, 教授 (80284321)
|
研究分担者 |
福井 清 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 教授 (00175564)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | NFκB / Nucling / ヌクリング / アポトーシス / 離乳後乳腺退縮現象 / STAT3 |
研究実績の概要 |
本研究は新規NF-κB制御分子ヌクリング(Nucling)のヒト生体内における生理機能と病態における意義の解明を目標としている。本年は、ヌクリングの生理機能の解析として、出産後マウスの離乳後乳腺退縮現象(mammary gland involution)におけるヌクリングの関与について検討した。離乳後乳腺退縮現象にはアポトーシス細胞死が深く関与していることが知られている。これにより哺乳動物は出産・離乳後に不要となる乳汁分泌が抑制される。ヌクリングKOマウスではこの離乳後乳腺退縮現象の遅延が疑われたために、以下の実験を行った。 まずヌクリングの乳腺における遺伝子発現様式を検討した。その結果、ヌクリング遺伝子は乳腺の発達時に発現誘導され、さらに退縮時にはより強く発現が惹起されることを確認した。次に、ヌクリングKOマウスにおける乳腺細胞の離乳前後の細胞死現象を野生型と比較検討した。その結果、ヌクリングKOマウスの乳腺ではアポトーシス異常がみられ、退縮現象が遅延していた。分子レベルの解析では野生型でみられるNF-κB及びStat3の活性化が同KOマウスの乳腺では抑えられていることを見出した。これらのシグナルは乳腺退縮に重要な役割を担っていることが知られている。以上より「ヌクリングは乳腺退縮(mammary gland involution)時のアポトーシス誘導現象に重要な働きを担っており、それはNF-κB及びStat3の活性化を制御することによりもたらされる」ことが強く示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
離乳後乳腺退縮現象におけるヌクリングの生理的役割の解明という新たな方向性が見いだされ、研究の進展性が開けてきたから。
|
今後の研究の推進方策 |
炎症性疾患発症機構解明のための詳細な検討及び実験を、前年度に明らかになったStat3経路等の検討とともに行い、人の炎症性病態におけるヌクリングの関与を深く追及していきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度に購入予定の消耗品の予算に充填するため。
|
次年度使用額の使用計画 |
マウス臓器組織液抽出に用いるための酵素類を購入予定
|