研究課題/領域番号 |
25460389
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
辻 大輔 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (00423400)
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研究分担者 |
伊藤 孝司 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00184656)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | リソソーム病 / GM2ガングリオシドーシス / TFEB |
研究実績の概要 |
リソソーム病では、過剰蓄積が起こったリソソームから何らかの異常シグナルが細胞内に伝達され、神経変性を含む脳内環境の破綻が起こり、その結果として神経機能の異常を起こしていると考えられる。しかしながら、疾患における神経機能と生体内基質蓄積との関係に関する研究は殆ど行われていないのが現状であり、神経機能異常メカニズムは依然として不明である。中枢神経症状を伴う代表的なリソソーム病であるGM2ガングリオシドーシスは、リソソーム酵素であるβ-ヘキソサミニダーゼ(Hex)の欠損に基づき、糖脂質であるGM2ガングリオシド(GM2)が過剰に蓄積して発症する常染色体劣性遺伝病である。 本研究では、GM2ガングリオシドーシスモデルマウス及び樹立した神経系細胞を用いて、各細胞間の恒常性維持及び破綻機構を解明し、さらにさらに正常酵素の補充による効果を、蛍光プローブを用いてイメージング解析を行い、正常化したグリア‐神経の脳内環境と機能回復との関係を明らかにし、最終的に患者由来iPS細胞から分化させた各神経系細胞で再現を試みることを目的とする。 平成26年度は、GM2ガングリオシドーシスモデルをはじめとする中枢神経症状を呈するリソソーム病モデルマウスの脳において、リソソーム生合成を制御している転写因子であるTranscription factor EB (TFEB)の解析を行った。その結果、野生型と比較してリソソーム病モデルマウスの脳ではTFEBの発現上昇が観察され、核に移行していることが明らかになった。また、GM2ガングリオシドーシス患者由来iPS細胞から誘導した神経細胞においてマイクロアレイ解析を行い、PI3Kに異常があることが明らかとなった。今後はこれらについてさらに詳細な解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成26年度は、前年度に特定した細胞内異常シグナル因子について様々なリソソーム病モデルマウスでの解析を行った。その結果、中枢神経症状を呈するリソソーム病の脳においてTFEBが顕著に発現増大を起こしていることが明らかとなった。さらにTFEBの核移行も観察され、これらが神経炎症に基いていることを証明した。このことから、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度については、リソソーム病モデルにおいてエキソサイトーシス等について解析を行い、神経外シグナル伝達の解明を行う。さらにGM2ガングリオシドーシス患者由来iPS細胞から神経系への分化誘導とTFEB解析を行い、神経炎症や脱落との関係性を明らかにする予定であり、当初の予定から特に変更はない。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は当初の計画よりも研究が進み、予定していた額よりも研究費の使用が少なくすんだことが理由として挙げられる。
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次年度使用額の使用計画 |
主に物品費として使用し、細胞培養消耗品や遺伝子解析試薬等に使用する予定である。
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