研究課題
染色体不安定性は発癌や癌の進展の要因であるが、DNA損傷応答や修復機構の異常が原因であることが多い。染色体不安定性症候群ファンコニ貧血の原因遺伝子の1つFANCJは、その欠損により特徴的な染色体不安定性が引き起こされることやBRCA1, MLH1, BLMなどの重要な癌抑制遺伝子と直接会合し機能することが報告されている。このことから、染色体不安定性に伴う発癌や癌の進展において、FANCJの機能異常が深く関与する可能性がある。申請者は大腸癌症例において、FANCJ発現亢進を認める症例があること、またその症例では5-FUを含む術後化学療法の治療成績が不良であることを報告してきた(Nakanishi et al. (2013) Ann Surg Oncol 19:3627-35)。申請者はこれまでに、ニワトリDT40細胞株を用いた遺伝学的手法により、染色体不安定性症候群ファンコニ貧血原因遺伝子FANCJの破壊株を樹立し、抗癌剤シスプラチンや5-FU代謝物に対する細胞応答や感受性について解析を進め、昨年成果報告書においてこのFANCJ破壊株は、5-FU代謝物FdUrdに対してもわずかに感受性を示すこと、その感受性の相補にはFANCJのDNAヘリカーゼ活性、ミスマッチ修復因子MLH1との結合、DNA複製関連因子TopBP1との結合が必要であることを報告した。昨年度は、このことがヒトがん細胞株においても同様の表現型が見られるかについて検証を行った。さらに、2014年に大鵬薬品工業より国内での販売が開始された新規ヌクレオシド型抗腫瘍薬ロンサーフの薬効成分トリフルリジンの作用機序に関する研究を行い、トリフルリジンとFdUrdの作用機序に共通した部分と異なる部分があることを明らかにし、原著論文として発表した(Matsuoka et al. 2015)。
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Mol Cancer Ther.
巻: 14(4) ページ: 1004-13.
10.1158/1535-7163.MCT-14-0236.
巻: 14(10) ページ: 2332-42
10.1158/1535-7163.MCT-14-0748
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