研究課題/領域番号 |
25460394
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
槇島 誠 日本大学, 医学部, 教授 (70346146)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ビタミンD受容体 / 自然免疫 / マクロファージ / NK細胞 / NKT細胞 / インターロイキン6 / ビタミンD誘導体 |
研究概要 |
1. 野生型またはVDR欠損マウスの肝臓からコラゲナーゼを用いて免疫系細胞を単離し比較検討した。その結果、VDR欠損マウスでは肝臓重量あたりの総免疫細胞数の増加が認められた。また、フローサイトメトリーを用いて各免疫系細胞の分布を評価した結果、ナチュラルキラー(NK)細胞における活性化マーカーCD69及びインバリアントNKT細胞の増加が認められた。肝マクロファージ(Kupffer細胞)及びB細胞については変化が認められなかった。 2. 野生型またはVDR欠損マウスより単離した肝臓免疫系細胞を培養し、LPS刺激を行い、リアルタイムPCRを用いてサイトカイン発現量を評価した。その結果、VDR欠損マウス由来細胞でのIL-6、IL-1b、TNF発現量の増加が認められた。VDR欠損マウスから単離したチオグリコール酸誘導性腹腔マクロファージにおけるLPS誘導性IL-6産生増加は過去に報告したが (Ishizawa et al. PLoS ONE 7: e51664, 2012)、肝臓常在免疫細胞における知見は新規のものである。細胞分布変化が認められたのがマクロファージではなくNK及びNKT細胞であったことから、VDR欠損マウス由来肝臓免疫系細胞におけるサイトカイン産生増加はマクロファージの産生能増加だけではなくこれらのリンパ球の分布、機能変化が影響を与えている可能性が示唆された。次年度はin vivoの肝障害モデルを作製し、野生型及びVDR欠損の比較を行う。 3.ケノデオキシコール酸→リトコール酸→VDRカスケードの解析の準備実験として、ケノデオキシコール酸付加食の影響を解析した。VDR欠損マウスにおいて、ケノデオキシコール酸とリトコール酸の代謝・排泄障害が認められた。 4.平成27年度の計画で用いる予定の選択的VDRモジュレーターの候補化合物(ビタミンDの側鎖修飾体)を複数合成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肝障害モデルにおける野生型及びVDR欠損の比較を行う予定であったが、VDR欠損マウスの繁殖に時間を要し、本年度はin vitroの検討に留まった。マウスは徐々に確保できていることから、次年度は実施可能であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はLPS、CpG、α-ガラクトシルセラミドなどを用いた急性肝炎モデルマウス、西洋食による生活習慣モデルマウスを作製し、野生型とVDR欠損マウスの比較を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
肝障害モデルにおける解析を行う予定であったが、VDR欠損マウスの繁殖に時間がかかり、in vivoの解析のためのマウスの確保ができず、in vitroの検討のみを行った。 VDR欠損マウスの繁殖は順調に進んでおり、個数が確保でき次第、急性肝炎モデルなどの解析を進める予定である。
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