研究課題/領域番号 |
25460397
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
朝日 通雄 大阪医科大学, 医学部, 教授 (10397614)
|
研究分担者 |
中山 博之 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40581062)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 糖鎖 / 心筋小胞体タンパク質 |
研究概要 |
糖鎖はタンパク質の主要な翻訳後修飾分子の一つであり、様々なタンパク質の機能を制御している。本研究では、心筋収縮機能に重要な働きをしているカルシウム制御タンパク質や心調律と関連性のあるイオンチャネルに対して、N型糖鎖やO型糖鎖による修飾がそれらの機能に与える影響を明らかにし、それらの機能を制御する糖鎖を標的とした心不全や不整脈の治療に対するin vivoを含めた基礎データを提供することを目的とする。 申請者らは心筋小胞体タンパク質の一つであるホスホランバンがO-GlcNAcにより修飾され、そのリン酸化が抑制されることを証明した(Yokoe, S.et al. Glycobiology, 10:1217-1226, 2010)。その他の心筋小胞体タンパク質のO-GlcNAc化を免疫沈降法を用いて多くのタンパク質を検討していく中で、平成25年度には、心筋小胞体タンパク質でカルシウムセンサーと考えられているSTIM1がO-GlcNAc化されることを見出した。STIM1はストア作動性カルシウム流入(SOCE:store-operated calcium entry)に関与しているタンパク質で、小胞体内のカルシウム濃度が低下することによりその局在を変え、細胞膜にあるOrai1というカルシウムチャネルと結合することにより、細胞内カルシウムを上昇させる(SOCE)。このSOCEが心肥大や心不全に関与すると考えられるが、STIM1のO-GlcNAc化がこのSOCEにどう影響していくかを現在鋭意検討中である。O-GlcNAc化が亢進すると言われている糖尿病における心機能障害にどの程度まで関わっているかまで検討する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多くの心筋小胞体タンパク質を調べる中で、O-GlcNAc化を起こすタンパク質を見出すのに思った以上に時間を費やし、ようやく探しえたという状態である。この遅れをこれから取り戻していく所存です。
|
今後の研究の推進方策 |
STIM1がO-GlcNAc化されたら、どのような機能変化を起こしSOCEに変化を与えるかを早急に検討していく予定である。また、それと並行して、別の小胞体タンパク質のO-GlcNAc化についても引き続き探索していく予定であるが、小胞体タンパク質で難しいようなら、研究計画を少し変更して心機能に関わるタンパク質全般に標的を広げてO-GlcNAc化を調べていく所存です。
|
次年度の研究費の使用計画 |
実験計画が遅れたために、次のステップに進めず、タンパク質の糖鎖修飾による機能変化測定や動物実験に移行できなかったため。 糖鎖修飾を受ける心筋小胞体タンパク質を見出したので、これから機能変化測定や動物実験を行う予定であり、今年度分、次年度分を合わせて使用する見込みである。
|