研究課題/領域番号 |
25460398
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 長崎国際大学 |
研究代表者 |
濱崎 直孝 長崎国際大学, 薬学部, 名誉教授 (00091265)
|
研究分担者 |
隈 博幸 長崎国際大学, 薬学部, 准教授 (40435136)
波多江 日成子 長崎国際大学, 薬学部, 助手 (00551582)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 血栓性素因 / プロテインS / 比活性 / 深部静脈血栓症 |
研究概要 |
1) ラテックス凝集法による総プロテインS蛋白量定量測定系の確立:総プロテインS蛋白定量法はモノクロナル抗体を用いた2試薬系のラテックス凝集法で行った。本試薬は、試薬中に含まれるC4BPにより、検体中のプロテインSをすべてC4bBP結合型に転換する段階(R1試薬)と、抗プロテインS-C4bBP複合体抗体感作ラテックス粒子による凝集反応(R2試薬)の2段階で構成され、抗体によるラテックスの凝集を700nmの吸光度上昇で測定し、非常に相関の良い直線関係が得られた。 2)比色法による総プロテインS活性測定系の確立:トロンビン発色試薬(S-2238)を用いた検体希釈後3試薬系の比色法を用い、上記プロテインS蛋白定量法および、プロテインS活性測定系の確立を行った。なお、本研究テーマにおいては、株式会社シノテスト(東京都)津田友秀氏の協力を得た。 上記2つのテーマにおいて、いずれも良い結果が得られた。これらのツールを組み合わせ、プロテインSの比活性測定法を開発できた。比活性法では、タンパク質の発現量にかかわらず、正確なプロテインSの活性評価ができるため、臨床現場において非常に有用な検査ツールとなることが期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度では、日本人を含むアジア系人種の血栓性素因が明確に異なることを示すため、プロテインSの活性測定法を開発することに主眼を置いていた。本年度は、その目的を達成し、自動分析機による測定法が開発できた。
|
今後の研究の推進方策 |
25年度に概ね完成させた測定方法の臨床検体での確認、精密度の決定、および、活性と蛋白量測定結果からプロテインS分子比活性計算が自動的にできるプログラムを作成する予定である。さらに、健常人検体を用いて、蛋白量、活性、比活性について、それぞれの基準範囲を決定する。 同時に、関係協力機関より収集した血栓症患者の検体中のプロテインS比活性を本測定法により測定し、血栓症患者におけるプロテインS/プロテインC機能低下症の頻度を算出する。活性低下を呈する患者については、同意の下プロテインSの遺伝子検査を行う。 この際、長崎市立市民病院検査部(上平 憲 検査部長)・九州大学病院産科(加藤 聖子 教授)・山元記念病院内科(伊万里市:小川 健一 内科部長)に協力を得て検体を収集することとしている。本人及び当該施設の承諾は既に得ている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究費用の多くを占める抗体関係の試薬が、予算では定価で算定していたが、複数の業者の相見積もりを行った結果、実購入額はそれを大きく下回ったためであると考えている。また、研究協力者(神奈川県)との研究の打ち合わせに使用予定であった旅費も、メールや電話で済ませることができた場合に限って出張を控えたため、当初予定を下回った。 引き続き、検出用試薬(抗体関係試薬)に使用する予定である。また、本年度は、検体の遺伝子解析を必要に応じて行うことが予想され、そのための試薬代にも使用予定である。
|