研究課題
最終年度にあたる平成27年度は、我々が開発したプロテインS比活性測定法を用いて各種臨床検体の測定を行い、比活性異常と遺伝子異常の関連性、疾患との関連性を調査するとともに、経口抗凝固剤であるダビガトラン服用によるプロテインS比活性変動のin vitro解析を行った。その結果、血栓症を発症し、かつプロテインS比活性が低下している検体のうち、リン脂質抗体症候群など原因が明らかな症例を除くとほぼ100%の確率でプロテインS遺伝子に何らかの変異が見つかった。このことから、我々が開発したプロテインS比活性測定法は非常に有用な検査法であることが証明された。また、日本人における血栓性素因の一つとして、APC(Activated Protein C)複合体の関与、特にプロテインS変異が関わっていることが明らかとなった。また、トロンビン直接阻害剤であるダビガトランは、血漿検体中に存在することによってプロテインS比活性に影響を与えないことも分かった。本結果については、現在論文作成中である。さらに、血栓症の専門医が多く集う学会である日本血栓止血学会の年次学術集会において、「プロテインS研究会シンポジウム」を開催し、プロテインSに興味のある各地の医師等と協力して静脈血栓塞栓症に関する研修と啓蒙を図った。今回開発したプロテインS比活性測定法は、研究期間である平成27年に保険適用となり、実用化された。これにより、全国の病院でプロテインS比活性を測定(オーダー)することが可能となり、今後の日本人の血栓症発症予防に大きな寄与ができると考えている。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
Clinical Chemistry
巻: 62 ページ: 392-406
10.1373/clinchem.2015.245621
臨床病理
巻: 63 ページ: 1412-1418
Science
巻: 350 ページ: 680-684
10.1126/science.aaa4335
http://www.niu.ac.jp/~pharm1/lab/cclm/thrombosis.html