研究実績の概要 |
今年度は、リン酸化p62とNrf2の結合を特異的に阻害する化合物を創薬機構の化合物ライブラリーからHTSにより取得し、その化合物によるがん細胞増殖抑制効果を細胞レベルで立証、論文報告した(Saito T, Ichimura Y et al. Nat. comm. in press)。p62の責任キナーゼについては、siRNAライブラリーを利用して複数の候補を取得した。今後、阻害剤やノックアウトの手法を用いて、その活性化経路を明らかにしていく予定である。 研究期間全体を通じて、選択的オートファジーに応答したリン酸化p62の出現、およびp62-Keap1-Nrf2系の活性化を見出し、選択的オートファジーとKeap1-Nrf2系の連動を明らかにした。さらに、本経路によるNrf2の活性化が肝がん細胞の増殖を促進することを証明した(Ichimura Y et al. Mol Cell. 51,618-631.2013)。リン酸化p62とNrf2結合阻害剤をスクリーニングを実施し、得られたヒット化合物によるがん増殖抑制効果を明らかにした(Saito T, Ichimura Y et al. Nat. comm. in press)。今後、さらにp62の責任キナーゼに関して、その活性化シグナルや制御メカニズムを分子レベルで明らかにしていく予定である。 以上のように、研究期間内に「選択的オートファジーのリン酸化p62の相互関連の解明」(Ichimura Y et al. Mol Cell. 51,618-631.2013)、「がんにおけるp62リン酸化の病態生理的意義」(Saito T, Ichimura Y et al. Nat. comm. in press)、「p62のリン酸化酵素の同定」(未発表)といった、研究計画の主たる目標を達成することが出来た。
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