研究課題
第1世代の2型や5型AAVのキャプシドのheparinやムチンに対する親和性に基づいて、第2世代のキャプシドを種々に混合した新たなAAVベクターを作成し、そのアフィニティークロマトを用いて簡易精製する方法の開発を申請した。しかし、実験を進める過程で、type 1 およびtype 9 AAVベクターの各々を、適正製造規範(GMP)への準拠が可能な簡易精製法を確立できる可能性を見出した。そこで、本年は高価なアフィニティークロマト用カラムの必要が無く、標準作業手順上の煩雑さを含む超遠心分離を含まないtype 9 AAVベクターの作成・精製のdown-stream processingの確立を試みた。無血清培養液下のHEK293 EB細胞へ3つのプラスミドを遺伝子導入後、9型AAVベクターを細胞培養液中に分泌させた。細胞培養液を限外ろ過して、低分子量のタンパク質を除去しながら濃縮・精製し、牛胎児血清や細胞由来のタンパク質の混入の少ない粗AAVベクター分画を得た。1/3飽和硫安処理により不要な共存蛋白質を遠心除去後、1/2飽和硫安処理により、AAV vector を沈殿させた。沈渣を3.3mM MES-HEPES-NaOAc緩衝液pH8.0にて、電気伝導度が7.3 mS/cm まで希釈後、HiPrep Q XL16/10 に負荷して、流出液としてベクターを回収した。SDS-PAGEの蛋白質染色で、ほぼVP1 ,VP2 ,VP3 の3本のバンドとなり、電子顕微鏡像によって、約97%の粒子がウイルス・ゲノムを有しており、実際の遺伝子細胞治療に使用可能な高力価・高純度であることが示された。最終的に 5 x 10E+9 のHEK293 EB細胞より、1.5 x 10E+15 viral genome の精製AAVベクターをdown-stream processingによって得ることが出来た。現在、Molecular Therapy に投稿中である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件)
Molecular Therapy -Methods & Clinical Development
巻: 3 ページ: 15058
10.1038/mtm.2015.58
Molecular Therapy- Methods & Clinical Development
巻: 3 ページ: 15059
10.1038/mtm.2015.59
SCIENTIFIC REPORTS
巻: 5 ページ: 13104
10.1038/srep13104