研究課題
KLF14遺伝子はヒト・マウスでインプリント制御を受けており、母方アレル特異的に発現する。マウスKlf14遺伝子は、胎仔期においては主に中胚葉系由来組織で強く発現しており、成体期では白色脂肪組織で特に強く発現している。ヒト集団を対象とした大規模eQTL解析・GWAS解析から、KLF14は代謝関連遺伝子群のマスター制御因子であり、KLF14遺伝子近傍にII型糖尿病を含む複数の代謝関連疾患感受性を示すSNPが同定されている。一方でKLF14の生理機能に関する知見は限られている。本研究ではKLF14の白色脂肪組織における機能の解明を目指して、KLF14ノックアウトマウスの表現型を解析している。これまでに、高脂肪食負荷(投与期間8週間)後のKlf14-/-♂個体群並びにコントロール(Klf14+/+♂)群由来の組織を対象とした発現アレイ解析から、Klf14-/-マウス由来白色脂肪組織で炎症関連遺伝子群、細胞周期関連遺伝子群の発現が高頻度に低下していることを見出している。このことはKLF14が肥満誘導時の白色脂肪組織リモデリングに関与しており、KLF14ノックアウトマウスでは肥満誘導時の白色脂肪前駆細胞の増殖能が低下している可能性が考えられた。H27年度中にKlf14-/+♂個体 (母方アレルKlf14が欠失しており、父方アレルKlf14は発現しない)並びにコントロール(Klf14+/+♂)群に対してより長期間の高脂肪色負荷実験(投与期間24週間)を実施した。H28年度にそれらの個体の白色脂肪組織の解析を継続し、Klf14-/+♂個体由来の脂肪組織では、コントロールと比較して脂肪細胞サイズ分布が異なること、具体的には小型細胞(前駆細胞)が減少し、成熟細胞が肥大化していることを見出した。KLF14ノックアウトマウスにおいては、高脂肪食負荷時の白色脂肪組織における脂肪蓄積能が低下している可能性が考えられる。
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