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2013 年度 実施状況報告書

予後予測因子としての癌免疫微小環境の意義

研究課題

研究課題/領域番号 25460412
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東京大学

研究代表者

森川 鉄平  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80451772)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード免疫微小環境 / リンパ球浸潤 / 癌間質 / 予後 / マクロファージ
研究概要

近年、各種癌組織において、癌細胞周囲のリンパ球やマクロファージの浸潤パターン、すなわち免疫微小環境が有用な予後予測マーカーとなりうることが報告されている。今年度は、いまだ有用な予後予測分子マーカーが存在しない上部尿路上皮癌(腎盂癌および尿管癌)における免疫微小環境の状態を解析し、新たな予後予測因子となりうるかどうか検討した。
腎尿管全摘術を施行された上部尿路上皮癌171症例を対象とした。パラフィンブロックから組織マイクロアレイを作成し、Tリンパ球表面マーカーであるCD3, CD4, CD8, CD45ROおよび腫瘍関連マクロファージのマーカーであるCD204に対する免疫組織化学染色を行った。免疫染色標本をバーチャルスライドスキャナを用いてデジタルデータとして取り込み、各マーカーの陽性細胞の密度を画像解析ソフトを用いて定量的に測定し、生存解析を行った。
いずれのマーカーに対しても良好な染色が得られ、全症例に対して解析を行うことが可能であった。各マーカーにつき、陽性細胞密度の中央値で2群に分け、生存解析を行った。その結果、CD3, CD4, CD8, CD45ROについては腎尿管全摘術後の転移再発、癌特異的死亡との間に有意な相関は認められなかった。一方、CD204陽性細胞の密度が高い症例群は、早期の術後転移再発および癌特異的死亡と有意に関連していた(いずれもlog-rank P <0.001)。癌の進行度やその他の臨床病理学的因子で調整を行った多変量解析でも、CD204陽性細胞の密度が高い症例群は早期の術後転移再発と有意に関連していた(P <0.05)。
以上の結果より、高密度のCD204陽性マクロファージの存在は上部尿路上皮癌の術後転移再発を予測する新規バイオマーカーとなりうることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、免疫微小環境を反映する分子マーカーが癌の新たな予後予測因子となりうることを示し、英文誌に報告した(Ann Surg Oncol 2014)。

今後の研究の推進方策

上部尿路上皮癌以外の癌についても検討を行う。また、FOXP3, PD-L1等のマーカーについても検討を追加する予定。

次年度の研究費の使用計画

必要な試薬は5万円以上のものが多いため、5万円に満たない残額は次年度の予算と合わせて使用することとした。
抗体などの物品費に使用する予定。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Prognostic Significance of CD204-Positive Macrophages in Upper Urinary Tract Cancer.2014

    • 著者名/発表者名
      Ichimura T, Morikawa T, Kawai T, Nakagawa T, Matsushita H, Kakimi K, Kume H, Ishikawa S, Homma Y, Fukayama M.
    • 雑誌名

      Ann Surg Oncol.

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1245/s10434-014-3503-2

    • 査読あり
  • [学会発表] 浸潤性膀胱癌におけるCD8およびCD204陽性細胞密度と予後2014

    • 著者名/発表者名
      森川 鉄平、市村 崇、川合 剛人、中川 徹、松下 博和、垣見 和宏、久米 春喜、石川 俊平、本間 之夫、深山 正久
    • 学会等名
      第103回日本病理学会総会
    • 発表場所
      広島国際会議場
    • 年月日
      20140424-20140426

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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