研究実績の概要 |
尿路上皮癌(腎盂尿管癌、膀胱癌)および胃癌組織内における免疫微小環境の状態と予後との相関を検討した。各種免疫細胞のマーカーを免疫組織化学的に染色し、陽性細胞の密度を画像解析ソフトで定量的に測定した。腎盂尿管癌では、CD204陽性腫瘍関連マクロファージの浸潤が多い症例が有意に予後不良であった。リンパ球表面マーカーであるCD3, CD8, CD20, CD45RO陽性細胞密度は予後と有意に相関しなかった。また、癌精巣抗原であるMAGE-Aの癌細胞における発現はCD3, CD8およびCD45RO陽性Tリンパ球の浸潤と有意に相関していたが、CD20陽性Bリンパ球の密度とは関連がなかった。MAGE-Aの発現は臨床病理学的因子やリンパ球浸潤とは独立した予後不良因子であった。膀胱癌でもCD204陽性腫瘍関連マクロファージの浸潤が多い症例が有意に予後不良であった。さらに、膀胱癌におけるCD204/CD8比はより強力な予後予測因子であった。胃癌でも、CD204陽性腫瘍関連マクロファージの浸潤が多い症例が有意に予後不良であった。EBウイルス関連胃癌では、CD66b陽性好中球の多い症例は有意にリンパ節転移が少なかった。
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