研究課題/領域番号 |
25460421
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
及川 浩樹 岩手医科大学, 医学部, 講師 (50285582)
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研究分担者 |
増田 友之 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10199698)
前沢 千早 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10326647)
柴崎 晶彦 岩手医科大学, 医学部, 助教 (20445109)
葛西 秋宅 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (20609664)
大塚 幸喜 岩手医科大学, 医学部, 講師 (50316387)
安平 進士 岩手医科大学, 医学部, 助教 (90311729)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 大腸癌 / 転移 / RhoGDI2 |
研究実績の概要 |
膀胱癌においてRhoGDI2 (RhoGDP dissociation inhibitor 2) は、発現低下が転移を促進し、逆にその発現亢進が転移を抑制することが示されている。卵巣癌、乳癌、胃癌、Hodgkin lymphomaでもRhoGDI2の発現状態と転移あるいは予後について検討されているが、一定の見解は得られていない。そこで、我々は大腸癌の転移形成にRhoGDI2が関与しているかを検討し、以下の結果を得た。 1. RhoGDI2の発現が低いHCT116で、これを高発現するstable cell lineを作製すると、足場依存性および足場非依存性の増殖は抑制された。また、浸潤も抑制された。2. HCT116のRhoGDI2をsiRNAでノックダウンすると、足場依存性の増殖および浸潤は亢進した。3. NSC23766でRac1の活性化を抑制すると、RhoGDI2を高発現させたstable cell lineと同様にHCT116の足場依存性の増殖と浸潤は抑制された。4. pull down Rac1 GTPase activation assayにより、Rac1の活性化を検討すると、RhoGDI2の発現亢進はRac1の活性化を抑制するのを認めた。また、RhoGDI2の発現亢進によりRac1の下流分子であるPak1、Aktのリン酸化は抑制されていた。また、βcateninの細胞内量も減少していた。5. 上記stable cell lineとcontrolのstable cell lineのmRNA量をマイクロアレイで網羅的に比較検討すると、RhoGDI2の高発現により8倍以上増加した分子は2分子で、4倍以上増加した分子は8分子、逆に8倍以上低下した分子は1分子、4倍以上低下した分子は4分子であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
stable cell lineをヌードマウスに移植し、腫瘍形成、リンパ節転移、肝転移について検討する実験が行われていないため。
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今後の研究の推進方策 |
1. RhoGDI2を高発現するstable cell lineが生体で転移を抑制するかを検討するため、ヌードマウスに移植し、検討する。 2. RhoGDI2の発現変化で変化したmRNAに関して、real time PCRやwestern blotによりvalidationを行う。 3. RhoGDI2の発現変化によりアポトーシスが誘導されるか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた動物実験を行うことができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
1. RhoGDI2の高発現が大腸癌の進展と転移に影響を与えるかを免疫不全動物を使い、検討する。 2. マイクロアレイで変化のあったmRNAに関してreal time PCR、western blotによりvalidationを行う。 3. RhoGDI2の発現変化によりアポトーシスが誘導されるかを検討する。
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