研究課題
膀胱癌においてRhoGDI2 (RhoGDP dissociation inhibitor 2) は、発現低下が転移を促進し、逆にその発現亢進が転移を抑制することが示されている。卵巣癌、乳癌、胃癌、Hodgkin lymphomaでもRhoGDI2の発現状態と転移あるいは予後について検討されているが、一定の見解は得られていない。そこで、我々は大腸癌の転移形成にRhoGDI2が関与しているかを検討し、以下の結果を得た。1. 30例のリンパ節転移を有す大腸癌例に関してRhoGDI2の発現を免疫組織化学的に検討すると、原発巣に比較し、リンパ節転移巣で有意にRhoGDI2の発現は低くかった。更に原発巣の中でもリンパ管侵襲部で有意にその発現は低かった。2. RhoGDI2の発現が低かった大腸癌細胞株HCT116でRhoGDI2を高発現するstable cell lineを作製すると、soft agar colony formation assayで、controlに比較し、コロニー数は減少していた。そこで、dish底面に付着できない条件下で培養した細胞に関してBrdU incorporation assayを行うと、有意に陽性細胞数は低くかった。また、flow cytometerにてapoptosisを示す細胞がRhoGDI2高発現で有意に増加していた。3. 上記stable cell lineで変化するmRNAをmicroarrayにより網羅的に解析すると、2倍以上増加を認めた分子は517個で、2倍以上低下した分子は135個であった。中でも8倍以上増加した分子はsemaphorin-3A、angiopoietin-2、8倍以上低下した分子はS100-A14であったが、いずれもreal time PCRで増減があることが確認された。
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