研究課題/領域番号 |
25460423
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
深澤 由里 東邦大学, 医学部, 講師 (90392331)
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研究分担者 |
石川 由起雄 東邦大学, 医学部, 客員講師 (30276894)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 消化管癌 / がん間質相互作用 |
研究概要 |
1、ヒト大腸がんの手術検体20症例より浸潤部を切り出し、凍結ブロックを作製した。Hematoxylin-Eosin染色、MMP7(Matrix metalloproteinase 7)およびDesminの免疫組織化学染色を施行した。形態学的観察に加え、がん細胞におけるMMP7の発現分布を観察し、MMP7陽性がん細胞周囲の間質およびMMP7陰性がん細胞周囲の間質をそれぞれ選出した。Laser Microdissection法により、目的の組織のみを回収しRNAを抽出したが、定量的RT-PCR解析が可能となるRNA量を回収することが困難であった。 2、ヒト大腸がんの手術検体より、初代培養線維芽細胞を4種樹立した。その一つである初代培養線維芽細胞株F17とヒト胎児肺線維芽細胞(WI-38)に、それぞれMMP7およびTGF-beta 1(Transforming Growth Factor-beta 1)を添加し、48時間後、96時間後の形態学的変化および蛋白発現の差を検討した。形態学的には明らかな差はなかったが、Western Blotting法において、TGF-beta 1添加後のalpha-SMA(alpha smooth muscle actin)の発現が、WI38に比してF17で減少している傾向があった。 3、MMP7の内皮細胞への影響を観察するため、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)にMMP7およびTGF-beta 1を添加し、48時間後、96時間後の形態学的変化および蛋白発現の差を検討した。形態学的にMMP7、TGF-beta 1添加後は間隙が目立ち、内皮細胞の結合性の減弱が示唆された。Western Blotting法において、TGF-beta 1添加によりclaudin-5の発現低下が示された。今後さらに蛋白発現および内皮細胞の機能的変化について検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Laser Microdissection法によるRNAの回収に想定以上の時間がかかった。さらにRNAの定量による候補分子の選出が不可能とわかったことで、培養細胞による実験系への変更を余儀なくされた。実験系を変更をしたことで、準備に時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
MMP7およびTGF-beta 1による培養内皮細胞の形態的変化および機能的変化について観察し、さらにWestern Blotting法を用いた解析を加えることで、癌細胞が血管内に侵入する分子機構を明らかにできるものと考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
残高は少額であり、次年度以降に無理なく有効に利用できる。 MMP7やそれに関連する刺激因子の添加による内皮細胞の結合に関わる蛋白の発現をWestern Blotting法にて検索するための試薬や抗体の購入を予定している。 また実際の癌周囲の血管は微小血管であることから、微小血管の内皮細胞を購入し、同様の蛋白発現の変化をWestern blotting法にて検討する。 さらに、内皮細胞のバリア機能、血管の漏出などの機能的な実験を行うためのラベル化された血漿タンパクとその漏出量の変化を測定するための特殊なチャンバーと試薬の購入を予定している。
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