研究課題/領域番号 |
25460425
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
鹿股 直樹 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (60263373)
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研究分担者 |
山口 倫 久留米大学, 医学部, 准教授 (10309750)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 乳癌 / 浸潤性微小乳頭癌 / リンパ節転移 / マイクロアレイ / 免疫染色 / 病理組織 / 極性逆転 / BC-1514 |
研究実績の概要 |
混合型浸潤性微小乳頭癌の、微小乳頭癌成分と通常型浸潤癌成分とのマイクロアレイ比較により見出したBC-1514 (B lymphocyte activation-related protein C21orf118)についてその発現の意義を検討した。 川崎医科大学で2009年6月から2010年12月までに手術が施行された浸潤性乳癌症例のうち、微小浸潤癌を除いた連続症例231例(11例の浸潤性微小乳頭癌を含む)および、その後の64例の浸潤性微小乳頭癌の計294例を用いて行った。代表的なパラフィンブロックを抽出し、組織マイクロアレイを作成した。免疫染色は、Santa Cruz社の2種類の抗BC-1514ポリクローナル抗体(C-15及びW-12)を用いて施行した。免疫染色結果は面積と染色強度の積をスコアとして検討した。 C-15では、浸潤性微小乳頭癌での発現(218.77±64.87、中央値200)が通常型浸潤癌(139.41±67.45、中央値180)より有意に高かった(p<0.0001)。また、W-12でも浸潤性微小乳頭癌での発現(242.84±58.32、中央値200)が通常型浸潤癌(211.43±75.59、中央値200)より有意に高かった(p<0.0001)。C-15発現は、pT因子、術後ステージ、組織学的異型度、脈管侵襲、ホルモン受容体、HER2、Ki-67、予後とは有意差がなかったが、W-12ではpT(p=0.0153)、組織学的異型度(p=0.0005)、HER2(p=0.0234)、Ki-67(p=0.0185)と各々、正の相関があり有意差がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
BC-1514については2種類の抗体を用いて、294例の臨床症例でのケースコントロール研究を施行することができ、各種の臨床病理学的因子との比較もできた。予定していた他のマーカー(CaMK2N1, RPL5, PJA2, CD1D, TXNIP, SAMD13, TCF4)での免疫染色についても一次スクリーニングは終了している。
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今後の研究の推進方策 |
他のマーカー(CaMK2N1, RPL5, PJA2, CD1D, TXNIP, SAMD13, TCF4)での免疫染色は、今の所、各種の臨床病理学的因子との関連が見いだせていないが、予後情報を含めた検討を続ける。また、ケースコントロールではなく、連続症例でのコホートでの検討も予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫染色用の抗体などにかかる費用が予定より安価に施行可能であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
薄切標本作製、免疫染色抗体・試薬の購入および論文の添削費用などを予定している。
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