我々は、高悪性度の浸潤腺癌の中に腫瘍抑制遺伝子CADM1を過剰発現する群があることに着目した。CADM1陽性の肺腺癌細胞株は、気管支上皮マーカーの発現が低く、RAPGEF2を共発現する。RAPGEF2のノックダウン実験により、RAPGEF2がCADM1による腫瘍抑制効果を低下させ、RAP1を介した癌細胞のMigrationを促進することが示された。原発性肺腺癌140例の解析結果から、CADM1陽性例で特徴的に、RAPGEF2の高発現が、気管支上皮マーカーの発現低下と予後不良に関与し、RAPGEF2がCADM1陽性の高悪性度肺腺癌の悪性形質獲得に関わることが示唆された。
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