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2013 年度 実施状況報告書

腫瘍幹細胞の観点からみた新たな悪性リンパ腫の層別化

研究課題

研究課題/領域番号 25460435
研究種目

基盤研究(C)

研究機関大阪大学

研究代表者

池田 純一郎  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20379176)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード癌 / 悪性リンパ腫 / 腫瘍幹細胞 / 病理学
研究概要

悪性リンパ腫において腫瘍幹細胞としての役割をもつ細胞を同定するためには,リンパ腫細胞からマーカーを利用してソートされた細胞をNOD/SCIDマウスに移植する必要があり,そのためには腫瘍幹細胞マーカーを検索しなければならない.これまでに悪性リンパ腫の一組織型であるホジキンリンパ腫の細胞株において,Hodgkin細胞類似の小型単核細胞群は同様の小型単核細胞を生み出すとともにReed-Sternberg細胞類似の大型多核細胞群を生み出すことを示し,小型単核細胞は腫瘍幹細胞のマーカーとして知られている活性酸素(ROS)除去能力が高く,アルデヒド脱水素酵素(ALDH)活性が高いことを示した.本年度は,これらの結果をもとにさらに小型単核細胞と大型多核細胞の差異についてそれぞれの細胞からmRNAを精製しcDNAを合成後,マイクロアレイにかけて,その発現に差のある遺伝子を検討した.その結果,小型単核細胞に比べ大型多核細胞で胎盤に発現するタンパクであるPSG1の発現が有意に高く,インスリンを加えることによって大型多核細胞の割合を増加させるとPSG1の発現が高くなることがわかり,腫瘍幹細胞の制御に関与している可能性が示唆された.また,ROS除去能を制御する因子として確認されたFoxO3aについて,さまざまな悪性リンパ腫症例における発現を検討した.腫瘍細胞にFoxO3aの発現がみられる組織型はホジキンリンパ腫,特に結節硬化型に多く,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫をはじめとしたB細胞リンパ腫やT/NK細胞リンパ腫では少なかった.以上の結果は,FoxO3aがホジキンリンパ腫に特異的なROS除去酵素を制御する因子である可能性を示唆し,腫瘍幹細胞のマーカーとしての重要な役割を担っている可能性が示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

種々の腫瘍において腫瘍幹細胞を多く含むとされているROS除去能について検討し,悪性リンパ腫,特にホジキンリンパ腫において腫瘍幹細胞のマーカーとしての重要な役割を担っている可能性を示唆する結果が得られた.また,PSG1がホジキンリンパ腫における新たな腫瘍幹細胞マーカーの候補となりうる結果が得られた.

今後の研究の推進方策

今後はホジキンリンパ腫を中心とした悪性リンパ腫において,DNAマイクロアレイの結果などを解析しながら,腫瘍幹細胞のマーカーとなりうる遺伝子の検討を行っていく.また,臨床検体を用いて病理組織学的にも検討を行う.

次年度の研究費の使用計画

研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため,当初の見込み額と執行額は異なった.
研究計画に変更はなく,前年度の研究費も含め当初予定通りに計画を進めていく.具体的には消耗品,情報収集あるいは成果発表のための国内旅費,複写費,研究成果発表費用(投稿料)に用いる予定である.

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Characterization of subpopulation lacking both B-cell and plasma cell markers in Waldenstrom macroglobulinemia cell line.2014

    • 著者名/発表者名
      Wada N, Zhan M, Hori Y, Honma K, Ikeda JI, Morii E.
    • 雑誌名

      Lab Invest

      巻: 94 ページ: 79-88

    • DOI

      10.1038/labinvest.2013.129.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] MiR-424/503-mediated Rictor upregulation promotes tumor progression.2013

    • 著者名/発表者名
      Oneyama C, Kito Y, Asai R, Ikeda J, Yoshida T, Okuzaki D, Kokuda R, Kakumoto K, Takayama K, Inoue S, Morii E, Okada M.
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 8 ページ: -

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0080300

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Inhibitory effect of Nodal on the expression of aldehyde dehydrogenase 1 in endometrioid adenocarcinoma of uterus.2013

    • 著者名/発表者名
      Wang Y, Jiang Y, Tian T, Hori Y, Wada N, Ikeda J, Morii E.
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun

      巻: 440 ページ: 731-736

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2013.09.139.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Expression of FoxO3a in clinical cases of malignant lymphoma.2013

    • 著者名/発表者名
      Ikeda J, Tian T, Wang Y, Hori Y, Honma K, Wada N, Morii E.
    • 雑誌名

      Pathol Res Pract

      巻: 209 ページ: 716-720

    • DOI

      10.1016/j.prp.2013.08.003.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ホジキンリンパ腫における小型腫瘍細胞と造腫瘍能2013

    • 著者名/発表者名
      池田 純一郎,森井 英一
    • 雑誌名

      Cytometry Research

      巻: 23 ページ: 11-14

  • [学会発表] 悪性リンパ腫における活性酸素を制御する因子の検討

    • 著者名/発表者名
      池田 純一郎,森井 英一
    • 学会等名
      第102回日本病理学会総会
    • 発表場所
      ロイトン札幌,札幌芸文館
  • [学会発表] microRNA を介したmTORC2 制御とがん形質発現

    • 著者名/発表者名
      小根山千歳,鬼頭頼子,浅井麗伊,角元恭子,奥崎大介,池田純一郎,森井英一,岡田雅人
    • 学会等名
      第72回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
  • [学会発表] 後腹膜嚢胞性病変を形成したリンパ脈管筋腫症(LAM)の一例

    • 著者名/発表者名
      前野悦子,吉村英雄,堀由美子,和田直樹,池田純一郎,森井英一
    • 学会等名
      第52回日本臨床細胞学会秋期大会
    • 発表場所
      大阪国際会議場
  • [学会発表] 気管支擦過細胞診標本における良性異型細胞と軽度異型腺癌細胞との鑑別

    • 著者名/発表者名
      二瓶恵,吉村英雄,堀由美子,和田直樹,池田純一郎,森井英一
    • 学会等名
      第52回日本臨床細胞学会秋期大会
    • 発表場所
      大阪国際会議場
  • [学会発表] 腫瘍幹細胞の観点に立脚したプラズマ技術を用いた新たな腫瘍制御

    • 著者名/発表者名
      池田 純一郎
    • 学会等名
      「プラズマ医療科学の創成」第2回公開シンポジウム
    • 発表場所
      名古屋大学IB電子情報館
  • [学会発表] 腫瘍幹細胞の観点に立脚したプラズマ技術を用いた新たな腫瘍制御

    • 著者名/発表者名
      池田 純一郎
    • 学会等名
      プラズマ医療科学研究会
    • 発表場所
      秋保温泉 ホテル華乃湯

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公開日: 2015-05-28  

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