動脈血栓症では動脈硬化巣(プラーク)の血栓形成能が重要であるが、その血栓能を反映する指標は確立していない。本研究では、動脈硬化巣の血栓形成能を反映する代謝産物の同定を目的とし、病理標本や動物モデル等を用いて検討した。プラーク内では炎症性刺激や低酸素刺激により代謝変動が生じており、特に糖代謝経路の亢進がみられた。低酸素刺激は血栓性因子の発現を促進し動脈血栓の形成に寄与していた。糖代謝酵素であるヘキソキナーゼIIの発現が冠動脈の血栓サイズと相関していた。このようにプラークの糖代謝産物や解糖系の代謝酵素、および低酸素状態の検出により血栓症のリスク評価や、新たな治療指標の確立への展開が期待される。
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