研究課題/領域番号 |
25460441
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
禹 哲漢 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (90537177)
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研究分担者 |
奥寺 康司 横浜市立大学, 医学部, 講師 (10326027)
大橋 健一 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40231203)
益田 宗孝 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10190365)
荒井 宏雅 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (10381493)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 肺癌 / KRAS / 増殖活性 / S100 |
研究実績の概要 |
がんの悪性度を規定する分子基盤を明らかにすることは、がんの進展機構を解明する上で、また新規の分子標的療法の開発につながる重要な研究案件である。本研究の目的は、その分子基盤の一端を明らかにすることである。申請者らは、これまでに、KRAS変異を伴い且つ高増殖活性を示す肺腺癌の術後再発率が特に高いことを明らかにし、また、マイクロアレイを用いたKRAS下流分子の網羅的発現解析から、このような高悪性度肺腺癌の成り立ちに関わる複数の分子種を同定し報告してきた。この成績は、KRAS下流分子の検索が、高悪性度肺腺癌の分子基盤を追及する上で優れた戦略であることを示していた。申請者らは、更にプロテオーム解析を追加し、従来の発現アレイ解析では同定できなかったKRAS下流分子を既に網羅している。それらのうち、A100A2とS100A11蛋白質は、その発現レベルがKRAS変異・高増殖活性肺腺癌において高い傾向がみられ、特に興味が持たれた。申請課題では、研究期間内に肺腺癌切除材料を対象に、S100A2/S100A11蛋白質の発現解析、および予後との相関関係、また肺腺癌細胞株を用いた細胞生物学的な機能解析を行い、S100A2/S100A11蛋白質の、KRAS変異・高増殖活性肺腺癌の分子病理学的特性への関与を明らかにすることを目標としている。 当該年度では、肺腺癌切除材料を対象に、S100A2/S100A11の発現レベルを、リアルタイムPCRあるいは免疫染色を用いて定量的・半定量的に解析を行った。また、StageI肺腺癌約179例を対象とし、予後との相関解析を行った。結果、KRAS変異・高増殖活性型肺腺癌では、特にS100A11発現が高い傾向を認めた。またStageI肺腺癌179例を対象とした予後との相関解析では、S100A11高発現と術後再発との間で、有意な相関を認めた。ほぼ計画どおりの進行状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述の如く、当該年度では、肺腺癌切除材料を対象に、S100A2/S100A11の発現レベルを、リアルタイムPCRあるいは免疫染色を用いて定量的・半定量的に解析を行った。また、StageI肺腺癌約179例を対象とし、予後との相関解析を行った。結果、KRAS変異・高増殖活性型肺腺癌では、特にS100A11発現が高い傾向を認めた。またStageI肺腺癌179例を対象とした予後との相関解析では、S100A11高発現と術後再発との間で、有意な相関を認めた。ほぼ計画どおりの進行状況である。
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今後の研究の推進方策 |
申請書の計画通り、以下の如くに進める。 ①前年度に引き続き、肺腺癌手術材料を対象とし、リアルタイムPCRあるいは免疫染色を用いてS100A2/S100A11の発現レベル解析を進めていく。mRNA解析に当たっては、マイクロダイセクション法によって腫瘍細胞と非腫瘍部気道上皮をとりわけた後に定量的RT-PCRを行う。採取・保存されている新鮮凍結検体の質に関しては、前述のこれまでの研究成果に示す如く、本課題の研究項目の完遂に十分な質のものである。また、得られたS100A2/S100A11発現結果と、KRAS変異および増殖活性との相関解析を行い、これら分子の高悪性度肺腺癌(KRAS変異・高増殖活性型肺腺癌)の成り立ちへの関与を、引き続き検証する。 ②予後との相関解析 前年度に引き続きStageI肺腺癌症例を対象とし、S100A2およびS100A11発現と予後との相関解析を、症例数をさらに拡大して進めていく。発現解析においては、市販の特異抗体を用いてパラフィン切片上で免疫染色を行い、蛋白質発現レベルを半定量的に解析する。特に免疫染色の結果から得られた染色様式を解析し、発現レベル半定量化のための閾値設定の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究はほぼ計画通りに進行中といえるが、年度内に消化できなかった実験があり、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度申請書の購入計画通りに申請する。また前年度に、翌年度分として請求した助成金分の申請も行う。 申請内容は、ほとんど実験試薬類の消耗品である。
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