研究実績の概要 |
アジアに群発する小腸原発腸管症関連T細胞リンパ腫(EATL)の細胞組織学的特徴とその増殖機序を検討する。特にCD8陽性EATLを検討する。新たな疾患群の解明を目指す。
日本においては、関連施設で集積された28例の中で26例はII型EATLであり、その多くはCD56+, CD8+のEpstein-Barrウイルス(EBV)陰性細胞障害性T細胞リンパ腫であった。それらの非腫瘍部位の粘膜には、腫瘍性のIELが約70%にみられ、また反応性IELが多くみられる腸症が約50%に認められることを確認した。腫瘍細胞はC-METの反応が約80%に、またリン酸化MAPKが90%、C-MYCが約40%、BCL2が70%強に認められた。また、FISH によるC-METの増幅は65%、C-MYCの増幅が71%に認められた。EATLでは、特にC-METは蛋白、遺伝子増幅レベルでCD8+T細胞リンパ腫、CD56+NK細胞リンパ腫に比較し高率であることが確認された。EATLでは、C-MET-MAPK系やC-MYC-BCL2系を介する細胞の増殖維持が腫瘍化に関与していると推測した。本内容は、国内学会で発表され、Human Pathology,2014,45:1276-1284に投稿された。 日本を含む東南アジアに特異的細胞形質を示すT細胞リンパ腫が小腸に集約して認められたことが証明された。また、その腫瘍の腫瘍化に関与する蛋白や遺伝子を推測した。
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