研究実績の概要 |
我々は、微小検体からRET転座を有用に見つける方法を開発するためにnCounterによるデジタルカウント法を手術検体で38の融合遺伝子プローブならびに24の野生型の遺伝子に対する5'ならびに3’のインバランスアッセイのプローブで有用性を確認した。2例の術前生検が存在する症例ならびに18例の鉗子洗浄液の存在するセットで有用性が証明できた。関西医科大学にもnCounter systemが導入されたので今後新たに前向き検討を行っていきたい。 各種遺伝子異常と殺細胞性抗癌剤の治療効果予測因子 βIII-tubulin(ビンカアルカロイド系)Ribonucleotide reductase subunit M1 (ゲムシタビン)、Thymidylate Synthase (チミジル酸合成酵素阻害剤)ならびに免疫調整因子であるPD-L1の発現の比較検討を行った。 免疫組織学的な検討ではRET転座を有する肺癌ではβIII-tubuin, RRM1, TSいずれも野生型遺伝子と比較し差を認めなかったが、免疫調整薬のターゲットと考えられるPD-L1が低発現を示していた。 他にBRAF変異ではTSが高値でチミジル酸合成酵素阻害剤は避けるべきと考えられた。 RET同様にHER2変異例、ROS1転座例においてもPD-L1の発現は低く、免疫調整剤の効果は低いと考えられた。EGFR変異、KRAS変異例、ALK転座例には殺細胞性因子並びにPD-L1発現に有意差を認めなかった。
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