研究課題/領域番号 |
25460447
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
仲村 賢一 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (60159069)
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研究分担者 |
泉山 七生貴 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター, 東京都健康長寿医療センター研究所, 助手 (10158751)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 皮膚 / 日光暴露 / テロメア / Actinic keratosis / 組織FISH |
研究実績の概要 |
26年~27年度前半までの結果として1.日光非曝露群、日光曝露群のおよびAK背景の、基底細胞のNTCR値(テロメア長を反映)は、3種類(基底、傍基底、および基底上細胞)の細胞種の中で最も大きな値は示さなかった。2.日光非曝露群における基底細胞のNTCR値は、日光曝露群と比較して有意に大であった。日光非曝露群の3種の細胞のNTCR値は、日光角化症(前癌病変、AK)背景の対応する細胞と比較して、いずれも有意に大であった。3.日光曝露群の3種の細胞のNTCR値は、AK背景の対応する細胞と比較して、いずれも有意差は認められなかった。4. AK病変部位の基底細胞のNTCR値は、AK背景の基底細胞と比較して小さな値を示した。以上からAKの背景およびAK自体において、テロメアの短縮が証明された。つまり、前癌病変はテロメアの短い皮膚から発生するすことを確認した。27年度後半はこれまでの検討では考慮されなかった皮膚疾患をもたない同一個体の日光曝露部表皮(頸部)と非曝露部表皮(腹部)を用いて、日光曝露による正常皮膚テロメア長の基底細胞と真皮線維芽細胞ついて検討した。基底細胞と真皮線維芽細胞の年齢との相関について回帰分析を行ったが、いずれも有意差は認めなかった。基底細胞と真皮線維芽細胞のどちらにおいても、日光曝露部と非曝露部テロメア長の間に有意差は認められなかったが、わずかに日光曝露部表皮のテロメア長の方が短縮している傾向にあった。日光曝露部と非曝露部どちらにおいても、すべての症例で基底細胞のテロメア長の方が、真皮線維芽細胞のテロメア長よりも有意に短かった。老化関連のβ―Gal染色は良好な結果が得られていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 前癌病変はテロメアの短い皮膚から発生するすことを確認し、仮説を支持する結果を得た。27年度後半からのパイロット的研究により、日光被曝の有無による基底細胞のテロメア長に日光曝露の有無により同一個体内でも差のあることが示唆された。症例を増やして、有意差のあることを証明できれば、日光老化によりテロメア短縮を引き起こし、AKの発生母地となることを裏付ける原著論文の作成を開始できる。老化関連β―Gal染色は良好な結果が得られていないが、テロメア検索症例数が十分となれば、論文中では結果は不要と考える
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今後の研究の推進方策 |
27年度同様に、同一個体内の日光曝露の有無について測定を進め、有意差の出た時点で原著論文を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
サンプルの収集が計画を下回り、それに伴い研究費の執行額が低下した。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費として研究用試薬、人件費、英文校正費を計上致します。
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