高分化型脂肪肉腫(WLPS)は良悪中間性腫瘍であり約10%は転移能のある悪性の脱分化型脂肪肉腫に進展する。MDM2遺伝子増幅は両者に共通した遺伝子異常であり、MDM2タンパク過剰発現を起こす。本研究では遺伝子異常と組織形態を同時に可視化する技術を用いて腫瘍病理検体上でのMDM2遺伝子、mRNA、タンパクの発現を統合的に解析した。MDM2異常細胞の出現はWLPSでは低頻度でありDLPSへの進展に伴い脂肪分化の消失と共にMDM2異常細胞のクローン選択が起こることを明らかにした。この結果は診断のみならず将来のMDM2阻害剤による分子標的治療に有用な知見である。
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