研究課題
基盤研究(C)
自然免疫系の制御因子TAX1BP1は機能上のパートナーであるA20/TNFAIP3と協調して、病原体の侵入や紫外線などの外部刺激による炎症反応の過剰活性化を抑制的に制御する。TAX1BP1の機能が一部欠損したマウスは全身性の炎症だけでなく心弁膜症・心肥大などの循環器系機能不全を来たし突然死の増加と平均余命の短縮が観察される(伊波等、EMBO J 2008; 中野等 PLoS One 2013)。TAX1BP1、A20/TNFAIP3の一塩基遺伝子多型(SNPs)と、リウマチ・全身性エリテマトーデス・心弁膜症などの炎症性疾患の実際の臨床例との相関性を検証するため、582例の炎症性疾患患者の血液検体についてアミノ酸置換を伴う変異の有無を塩基配列の解読によって進めている。初年度は、TAX1BP1、A20/TNFAIP3それぞれのエクソン18、エクソン3領域に限定して解析し、前者で1例、後者で8例のアミノ酸置換をともなうSNPsの存在を確認した。今年度は両遺伝子に加え、RNF11、ITCH、合計4遺伝子の全エクソンの解析を次世代シーケンス技術を用いて進める計画である。
2: おおむね順調に進展している
昨年度の時点で、次世代シーケンサーの導入は無く、従来法での塩基配列解析を進めたが、当初設定したTAX1BP1、A20/TNFAIP3双方の最重要機能領域を包含するエクソン領域の塩基配列は解析が終了し、アミノ酸置換を含む一塩基多型の存在を確認できた。
今年度本学に導入指した卓上型次世代シーケンサーを駆使し、本研究課題の対象となるTAX1BP1、A20/TNFAIP3、RNF11、ITCH、4遺伝子の全エクソン解読を行う予定である。
当初計画した課題は達成した。人件費及び旅費で若干の余りが生じたので、次年度使用に持ち越した。積極的に成果を発表するため、分子生物学会での発表を計画中であり、その旅費に使用する予定である。
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PLoS One
巻: 8 ページ: e73205
10.1371/journal.pone.0073205.
Blood Cancer Journal
巻: 3 ページ: e132
10.1038/bcj.2013.30.