研究課題/領域番号 |
25460464
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
岩堀 徹 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00366105)
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研究分担者 |
清水 章 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00256942)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | IgA腎症 / 多重染色フローサイトメトリー法 / 扁摘 |
研究概要 |
【意義】 IgA腎症に対する扁摘の効果には未だ議論がある。扁摘による免疫ネットワークの変化を明らかにするため、IgA腎症扁摘前後の多種免疫細胞動態の変動を PFCを用いて解析した。 【方法】IgA腎症6例の扁摘前後でヘパリン下採血し、赤血球溶解後Lineage、HLADR、CD123、CD45RO、 BDCA2、CD62L、CD3、CD4、CD8、CD25、CD127、6B11、CD150、CD163、CCR7、CD14、CD206に対する抗 体で多重染色カクテル4種に分けて染色を行った。 取得細胞数は250万個とした。 【結果】扁摘前後で平均のCD4+細胞総数、CD8+細胞総数、CD4+CD25+CD127-抑制性T細胞数、Lineage-HLA- DR+CD123+BDCA2+形質細胞様樹状細胞数、CD14-CCR7+M1マクロファージ数、CD11b+CD33+HLA- DR+CD14+CD15+CD66b+骨髄由来抑制細胞数は各26523個から7066個、12907個から6518個、2010個から563個、86 個から21個、35283個から13721個、4428個から2846個と著減した。CD3+6B11+iNKT数とCD150+CCR7-M2c数は 329個から517個、12878個から17070個と増加傾向を示し、M2a数は変わらなかった。 【結論】IgA腎症扁摘により免疫細胞数の変動が見られ、その病態解析に有用である可能性が示唆された。 【重要性】これまでIgA腎症に対する扁摘の効果は不明であった。今回の解析でその有用性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腎生検症例が多く、血液検体も順調に集まっている。扁桃摘出のみによる免疫学的パラメーターの推移を多重染色フローサイトメトリーにて解析が進行している。 一方、他の治療(ステロイドやミゾリビン)による効果も同様の方法で解析が進行している。 また、扁桃も摘出後検体が集まっており、その解析も進行している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは扁摘の効果を中心に解析を進めてきたが、扁摘後の治療、すなわちステロイド療法やミゾリビン療法の免疫学的な効果を明らかにするため定期的に検体を採取して検討を行う。つまりIgA腎症症例の腎生検時、扁摘後、ステロイドパルス療法前後、ミゾリビン療法前後で検体を収集することを継続する。
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次年度の研究費の使用計画 |
患者検体が治療に応じて採取されるため、あらかじめ抗体量など試薬の必要量を正確に把握することは難しい。予想される検体数から不足しないように計画を立てた結果次年度使用額が生じたと考える。 多重染色フローサイトメトリー用各種抗体が使用する中心の物品となる。年間約100例程度の検体数が予想され、それに応じた試薬補充が必要となる。
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