研究課題
基盤研究(C)
正常膵、顎下腺、リンパ節組織と、IgG4RDの膵、顎下腺、リンパ節組織を対象とし、pericyteマーカーとされているPlatet derived growth factor alpha(PDGFRα)と筋上皮マーカー、筋線維芽細胞マーカーであるα smooth muscle actin(αSMA)を用いて、免疫組織化学的に正常膵、顎下腺、リンパ節組織と、IgG4RDの膵、顎下腺、リンパ節組織における染色性の違いを検討した。正常膵組織では、腺房細胞周囲にPDGFRα陽性、αSMA陽性細胞が少数認められたが、IgG4RDでは線維化が進むにつれ、腺房細胞周囲にPDGFRα陽性、αSMA陽性細胞の増生が認められ、分枝膵管周囲ではαSMA陽性細胞の増生がみられた。正常顎下腺組織では、腺房細胞周囲に、少数のPDGFRα陽性、αSMA陽性細胞が認められ、IgG4RDでは線維化が進むにつれ、PDGFRα陽性、αSMA陽性細胞の増加が認められた。正常リンパ節、IgG4RDではリンパ洞の辺縁部にαSMA陽性細胞が認められたが、PDGFRα陽性細胞は認められなかった。以上の結果より、pericyte、筋線維芽細胞がIgG4RDの線維化に深く関わっていると考えられ、pericyte-myofibroblast transitionを介した線維化が引き起こされると考えられた。これら2つの細胞の分布が、臓器毎の線維化の程度を反映していると思われた。
3: やや遅れている
研究当初、peircyteマーカーであるThy-1の免疫組織化学的検討を考慮していたが、良好な染色性が得られなかったため、他のpericyteマーカーであるPDGFRαを用いた免疫組織化学的検討を行った。結果的に、「pericyte-myofibroblast transitionがIgG4RDの線維化に深く関わっていることが推察され、これら2つの細胞の分布が、臓器毎の線維化の程度を反映している」という仮説を立てることができた。
・IgG4RDとの組織学的鑑別が問題となるの非IgG4RDや膵、唾液腺、リンパ節以外の臓器に発生したIgG4RDを用いて、筋上皮細胞、pericyte、筋線維芽細胞の局在を免疫組織化学的に検討する。また、他のpericyteマーカー(PDGFRβ、CD248、MYO1B)についても検討を加える。・IgG4RDにおけるTransforming growth factorβ1(TGFβ1)を介した筋線維芽細胞分化の有無を免疫組織化学的に検討し、TGFβ/Smadシグナル伝達経路を介した線維形成がIgG4RDで引き起こされているか否かを明らかにする。・正常膵・顎下腺・リンパ節組織とIgG4RDの膵・顎下腺・リンパ節組織を用いて、レーザーマイクロダイセクションを行い、それぞれからRNAを抽出して、Real-time PCRを行い、PDGFやとSMA発現の有無とmRNAの量的解析を行う。
すべて 2013
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J. Clin. Exp. Hematop
巻: 53 ページ: 79-85