研究課題
下垂体腺腫は臨床的に機能性腺腫と非機能性腺腫の2つに大別される。このうち機能性腺腫は既知の前葉ホルモンを産生しているため、これら免疫染色でに陽性となるが、非機能性腺腫の一部はごくわずかにホルモン染色に陽性、また一部はホルモン陰性腺腫となる。この非機能性腺腫 516例に対し転写因子発現まで含めた免疫染色検討を行った結果、今までnull cell adenomaと判断されたホルモンに対する免疫染色に陰性の腫瘍が全下垂体腺腫のおよそ12%であったのに対し、転写因子陰性HNAの真のnull cell adenomaは0.6%と、発表した。ホルモン陰性腺腫のうち、転写因子SF-1陽性とT pit陽性に分けられた腺腫は、男女比、周囲への浸潤性、ホルモン前駆物質発現量などで臨床的差異が有意差をもって明らかとなり、かつ転写因子が同系統の非機能性ホルモン陽性腺腫と同一の特徴を示した。この研究が病理学的に寄与したことは、0.1%程度の細胞数に微弱な染色性でホルモン産生の確定が困難だった免疫染色結果を積極的に評価可能と明示したことでもある。また、Cushingv病を呈する下垂体腺腫のUSP8やCarney症候群のPRKAR1などの遺伝子異常と臨床所見、病理組織型の関係を検討した。USP8変異は、再発を繰り返す症例にはほとんど見られないことがわかり、また通常型densely type microadenomaであることを明らかとした。
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