研究課題/領域番号 |
25460469
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
飯塚 利彦 公益財団法人がん研究会, その他部局等, 研究員 (80323707)
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研究分担者 |
石川 雄一 公益財団法人がん研究会, その他部局等, その他 (80222975)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肺癌 / long noncoding RNA |
研究実績の概要 |
(i) Long noncoding RNAの発現を肺腺癌の病理組織標本を用いたRNA in situ hybridizationを用いて検討した。その結果MALAT-1の発現は発癌の早期段階であるadenocarcinoma in situでも見られることが分かった。この結果は以前に我々が行ったqRT-PCRでの解析結果と合致するものである。またMALAT-1は肺癌細胞の核内でドット状の局在パターンを取ることが分かった。 (ii) 前年度までのqRT-PCRによる発現解析で、MALAT-1の発現は、KRAS遺伝子変異陽性例でのみ予後と相関する結果を得た。この結果を確認するため、肺腺癌約340例を含むデータベースの構築を開始した。データベースには、EGFR、KRAS変異の情報の他、予後や組織像等の情報が含まれている。約340例の肺腺癌のEGFRおよびKRAS遺伝子変異のタイピングを完了した。 (iii) EZH2はポリコーム蛋白質に属するヒストンメチル化酵素であり、long noncoding RNA HOTAIRによりゲノム上のターゲット遺伝子にリクルートされることが知られている。qRT-PCRおよび免疫染色で測定したEZH2発現と肺腺癌の組織亜型との関連を検討したところ、EZH2はhigh grade subtypeである、micropapillary adenocarcinomaとsolid adenocarcinomaで有意に高発現であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肺癌症例のデータベース作成に予定より時間がかかっている。また病理標本を用いたRNA in situ hybridizationはMALAT-1で可能であったものの、HOTAIRでは困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
(i) 我々の以前の検討では、MALAT-1の発現はKRAS変異症例のみにおいて、肺腺癌の予後と関連していた。その点について、肺腺癌340例のデータベースを完成し、またMALAT-1発現を凍結材料からのqRT-PCRで測定することにより検討する。 (ii) MALAT-1やHOTAIR以外で肺腺癌の予後に関連するlong noncoding RNAをcDNA microarrayを用いて検索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
cDNA microarrayを用いたlncRNAの検索の際の方法を変更した。
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次年度使用額の使用計画 |
ポリコーム蛋白質にEZH2と結合するlncRNAに焦点を絞って解析することを目的とし、抗EZH2抗体を用いたRIP-chip法で、肺腺癌で予後と関連するlncRNAの検索を行う。
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