研究課題
前年度までにヒト滑膜肉腫細胞株であるFUJIを幹細胞培養し、免疫沈降法と質量分析計を用いて、スフィア形成群と非形成群におけるスフィア形成群特異的なSS18-SSX結合分子の同定を試みた。種々の手法により絞り込みを行ったところ、幹細胞性の制御・維持に関わる可能性が考えられる26の候補分子が抽出された。最終年度はこれらの候補分子が実際にSS18-SSXと結合しているかどうかの検証を行った。候補分子中のPARP1及びNPMは293Tを用いたSS18-SSX2一過性過剰発現の実験系において結合が確認された。しかし抽出した26の候補分子のうち、PARP1及びNPMを除く複数の分子では上記の実験系でSS18-SSX2との結合ができず、非特異的な結合を呈する分子が多数存在することが考えられ、再度免疫沈降の条件の厳密化を行い、FUJI及びSYO-1の2種の滑膜肉腫細胞株で質量分析計によるSS18-SSX結合分子の同定、絞り込みを実施中である。さらに後述する滑膜肉腫幹細胞の性状解析、造腫瘍能の評価に用いるshRNA安定発現株作製のための予備的検討として、我々が世界に先駆けて報告した滑膜肉腫幹細胞マーカーであるCXCR4とその基質であるCXCL12をターゲットとしたコマーシャルベースのパッケージング済みレンチウィルス粒子を購入し、ノックダウン効率を検討したところ、充分な発現抑制効果が得られることが明らかとなった。今後はFUJI及びSYO-1を用いて内在性のPARP1及びNPMとSS18-SSX2とのスフィア形成群での結合確認を行うとともに、滑膜肉腫幹細胞の性状解明とそれに伴う新規治療法の創出を目指し、幹細胞性との関連の検討、候補遺伝子特異的なshRNA安定発現株の作成、NOD/SCIDマウスへの皮下移植により、in vivoでの幹細胞性の喪失、治療効果について検討する。
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