我々はTHG-1(Tsc22D4)の機能を解析する過程で、THG-1が扁平上皮がんに発現することを見出した。そこで皮膚角化細胞にTHG-1を発現させたところ、EGFによる細胞形態の変化、及び増殖、運動性が亢進することが認められた。さらにTHG-1はEGFR-Ras-ERK経路によってリン酸化され、腫瘍形成の促進に重要な役割を果たすことが明らかになった。以上よりTHG-1は、扁平上皮がんの新規がん遺伝子として機能することが明らかになった。今後はTHG-1のがん化における役割を明らかにし、さらに抗リン酸化THG-1抗体を用いた新規がんの診断法の開発に結びつけていきたいと考えている。
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