研究課題/領域番号 |
25460474
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
長沼 誠二 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (50452123)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 食道癌 / Notch / レーザーマイクロダイセクション / 癌浸潤 / 予後因子 |
研究実績の概要 |
1. 食道癌の手術標本を用いた病理組織学的、免疫組織化学的検討にて、食道癌浸潤部におけるEMT(epithelial-mesenchymal transition)様の形態変化の有無、またNotch1免疫染色による核染色の有無と、中長期予後とに相関性があることは前年度までに統計的に明らかになった。そこでさらに、術前化学療法後の食道癌手術標本や、術後再発病変の標本を集めて検討したところ、それら病変においてはEMT様細胞およびNotch1核染色陽性細胞の存在する割合が有意に高いことが明らかになった。 またこのNotch1の発現にはいくつかのパターンがあることを見いだし、特定のパターンにおいて有意に予後との相関が高いことが明らかになったが、今回さらに症例を増やすことにより統計データがより確実となった。
2. ラット実験的食道癌モデルの凍結切片よりtRNAを抽出し、DNAマイクロアレイを試行した。この実験モデルではびらん性食道炎、異形成 (dysplasia), バレット上皮、腺癌、扁平上皮癌と多彩な組織像をとり、それぞれの部位からマイクロダイセクション法にて選択的に細胞を採取した。採取したtRNAのクオリティは良好で、マイクロアレイにて良好なデータを得られた。現在はデータ解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属機関における実験設備の都合のため、最も重要なマイクロダイセクションの行程を他施設にて行う必要があり、そのため日程調整が難航するとどうしても実験の進行は遅れがちになる。さらに当初採取したサンプルのクオリティに問題があり、実験方法およびサンプルの輸送方法に試行錯誤を重ねてようやく良好なサンプルを得るに至ったため、この面でも相乗効果的に遅れを生じた原因となったと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
上述のマイクロアレイの結果を踏まえ、検討対象となる遺伝子・蛋白について、個別にreal time PCRや免疫組織化学的に検討を加え、確証作業を行う。 細胞培養については、3次元培養を行うための細胞が現所属機関において入手困難となる可能性があり、その場合は一般的な癌細胞株での実験にシフトする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗の遅延により、細胞培養等の実験の開始が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
マイクロアレイは現在データ解析中だが、その結果を踏まえて、標的遺伝子についてreal time PCRを行う際の試薬購入、プロ-ベ作製および購入費用、免疫組織化学的検索を行う際の抗体・試薬等の購入費用、また細胞培養のための細胞・試薬等の購入等が必要となる。その他食道癌症例の組織サンプル選別や打ち合わせのため共同研究施設への出張旅費や、学会出張旅費等も必要になると思われ、無駄のないよう有効かつ適正に使用してゆく。
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