研究課題
基盤研究(C)
以下の3点について報告する。1. 8-ヒドロキシグアニンなどの酸化的損傷塩基の除去修復に関わるMUTYHは、OGG1とdouble knockoutさせると、その細胞は、酸化的ストレス誘導下で中心体過剰複製を起こしやすいことが知られている。また、MUTYH関連ポリポーシス(MAP)の原因遺伝子でもある。このMUTYHおよびOGG1の日本人若年発症大腸癌患者34名における塩基配列異常を調べた。2つの病原性アレルを有する症例は見られなかったが、MUTYHのp.R19*およびp.R109Wを検出した。両者の非日本人MAP症例での報告例、今回のDNA切断分析およびsupF前突然変異分析で示された低修復/低突然変異抑制活性から、両者が日本人MAP病原性アレル候補であることが考えられた。2. 正確な染色体分離が行われる上で重要な役割を果たす分子であるヒトシュゴシン(SGOL1)のスプライスvariantであるB型が原発性非小細胞肺がんの多くで高発現していた。また、B型を非小細胞肺がん細胞株で高発現させる実験により、B型高発現が、染色体の誤った分離、早期染色分体分離、M期進行の遅延、中心体過剰複製、抗がん剤であるタキサンに対する耐性と関連性を示した。これらの結果は、非小細胞肺がんにおいて、SGOL1のB型がM期異常とタキサン耐性を誘導することを示唆している。3. 中心体制御因子であるSTK15(AURKA)セリン/スレオニンキナーゼ遺伝子の過剰増幅が、非受容体型チロシンキナーゼTNK2(ACK1)ともに原発性胃がんの予後予測規定因子となることを明らかにした。後者は、さらに独立した予後予測規定因子となること、その高発現が遊走能/足場非依存性増殖能の増加を示し、特定のパスウェイの活性化につながること、などを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
研究時間を予定通り確保できており、概ね順調に進んでおります。
(1)中心体過剰複製につながるDNA修復酵素遺伝子異常の解析、(2)DNA付加体生成物質を用いた中心体過剰複製誘導機構の解析、(3)肺・胃・大腸がんにおけるDNA修復・中心体制御遺伝子異常の解析、の柱で、予定通り進めていきたいです。
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