研究実績の概要 |
Hippo経路の標的分子であるYAP/TAZは悪性中皮腫、肝臓癌など様々な腫瘍において腫瘍形成に関与することが示されている。血管系の悪性腫瘍である類上皮血管内皮腫においてTAZとCAMTA1あるいはYAPとTFE3遺伝子の転座による融合遺伝子が検出され、腫瘍形成に重要であることが示されている。類上皮血管内皮腫症例7例のおいてTAZ, YAPの転座相手であるCAMTA1, TFE3の発現を免疫組織化学染色により解析を行った。CAMTA1は全例で核に発現がみられたが、TFE3の発現は確認されなかった。他の血管系腫瘍ではangiosarcomma、小数例ではあるがhemangiomaでもCAMTA1の核内での発現がみられたが、類上皮血管内皮腫ではより強い発現がみられた。Flag-HAをtagしたTAZ/CAMTA1およびYAP/TFE3を発現するレンチウイルスベクターを作製し、不死化したヒト正常皮膚血管内皮細胞(HMEC-1)、HEK293細胞、扁平上皮癌細胞株などに発現させた。TAZ/CAMTA1, YAP/TFE3の発現させた細胞でCTGF、CCND1などのYAP/TAZの標的遺伝子の発現を調べたが明らかな発現の上昇はみられなかった。HMEC-1細胞より融合蛋白をTandem affinity精製を行い抽出されたタンパク複合体にTEAD3/4, p73などの転写因子が確認された。またMS/MS解析を行ったところASB2、ERG、SIR7などのタンパクが同定された。
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