研究課題
純化肝細胞の収集は引き続き行いつつ、既収集凍結組織検体を解析に加える方針とした。大腸がん肝転移症例等の正常肝組織36検体、肝細胞がん症例の非がん肝組織36検体、肝細胞がん組織24検体について、Infinium HumanMethylation450 BeadChip解析を行った。非がん肝組織において正常肝組織に比してすでに生じ、その異常が肝細胞がんに継承されるDNAメチル化の変化を示すCpG部位を21,106CpG検出した。肝細胞がん症例にはHBV陽性症例・HCV陽性症例の双方を含むように選択し、各肝炎ウイルス毎に肝発がんに寄与する可能性のあるDNAメチル化の変化を検出した。HCV陽性症例はHBV陽性症例に比してDNAメチル化異常の頻度が高く、HCV陽性症例ではDNAメチル化亢進の頻度が高いことがわかった。HBV特異的プロファイルは極めて少なく、一方でHCV特異的プロファイルはゲノム全体に高頻度で認められた。凍結組織と純化細胞による結果を比較すると、HBV陽性例の純化細胞において全体的なDNAメチル化減弱とCpGアイランドのDNAメチル化亢進のパターンが顕在化した点が異なっていたが、ゲノム全体を俯瞰したDNAメチル化パターンにおいては純化細胞と凍結組織に大きな差異はなかった。
2: おおむね順調に進展している
純化肝細胞の解析予定数の減少を、既収集組織検体による解析を加えることで補っている。検体数を増やすことで統計解析における正確性を担保すると共に、純化細胞と血管・胆管・炎症細胞等を含む組織検体とのDNAメチル化プロファイルを比較することが可能になり、今後自他ともに増えていくとみられる、既収集組織バイオバンク試料を用いた観察研究の可能性について検討できると考えている。
純化肝細胞のInfinium解析データのバイオインフォマティクス解析を行う。また、組織検体の検体数を増やし、Infiniumアレイ施行とデータ解析を行う。発がんに寄与する可能性のあるDNAメチル化プロファイル解析を進めると共に、純化細胞による結果と組織検体による結果を比較し、組織検体に混入していると思われる非肝細胞の結果に対する影響について検討する。
10円未満の微小な残金であり、これのみでは研究に有用な使途がないため。
次年度交付額と合わせて、物品費等として使用する。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (9件) 備考 (1件)
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http://www.ncc.go.jp/jp/nccri/divisions/01path/01path01.html