研究課題/領域番号 |
25460488
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
中田 晋 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍病理学部, 主任研究員 (80590695)
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研究分担者 |
藤田 貢 近畿大学, 医学部, 准教授 (40609997)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 癌幹細胞 / マウス発癌モデル / 幹細胞マーカー / 膠芽腫 |
研究概要 |
当該年度である初年度は、当初の目的と実験計画に基づき、LGR5-GFPトランスジェニックマウスに対するSleeping Beautyトランスポゾン誘導型マウス膠芽腫発癌モデルの作製を行った。次いで、作製に成功したモデルマウスから脳腫瘍組織を摘出し、GFP発現を指標としたLgr5陽性腫瘍細胞を、生細胞の状態で選択的細胞分離する実験系の確立に成功した。このモデルを用い、Lgr5陽性脳腫瘍細胞の網羅的遺伝子発現解析、スフェア形成能の定量的解析、同系マウスへの移植による腫瘍形成能の定量的解析を含む、癌幹細胞特性の生物学的性状解析を進めている。これらの実験から得ている成果は、マウス生体内における実験的脳腫瘍組織中に比較的少数存在する、Lgr5陽性細胞集団の、自己複製能および多分化能を含めた癌幹細胞特性に関する新規知見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に沿って、LGR5-GFP トランスジェニックマウスに対して、Sleeping Beauty トランスポゾン誘導型マウス膠芽腫発癌モデルの作製に成功し、Lgr5陽性細胞の幹細胞生物学的な性状解析を行った。作製した脳腫瘍を摘出し腫瘍細胞を分離し、FACSを用いた選択的細胞分離を行い、遺伝子発現解析、スフェア形成能のin vitro解析、同系マウスへの移植による腫瘍形成能の解析を行った。従っておおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、確立した膠芽腫発癌モデルを用い、生体内腫瘍の発生と進展に必須の新規治療標的因子を同定する。前述のごとく、LGR5-GFP トランスジェニックマウスに対するSleeping Beauty トランスポゾン誘導型マウス膠芽腫発癌モデルの作製が順調に進展したため、この点に関しては当初予定した目的よりもさらに特異的な候補遺伝子を絞り込むことができた。従って今後、特に初年度見いだしたLgr5陽性細胞に特異的に発現する新規治療標的候補遺伝子の機能的評価を行う。さらに、網羅的遺伝子発現解析からLgr5陽性細胞に特異的に活性化している可能性が高いシグナル伝達系を見いだしているため、次年度以降は、候補遺伝子のノックダウンを集中的に進めつつ、平行して、Lgr5陽性細胞に特異的に活性化しているシグナル伝達系の阻害物質に関してもin vivo解析の対象とする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度は、LGR5-GFPトランスジェニックマウスに対するSleeping Beautyトランスポゾン誘導型マウス膠芽腫発癌モデルの作製が順調に進展した。生体内における実験的脳腫瘍組織中に比較的少数存在するLgr5陽性細胞集団の、自己複製能、多分化能を含む癌幹細胞特性に関する知見の報告はないため、Lgr5陽性脳腫瘍細胞の網羅的遺伝子発現解析、スフェア形成能の定量的解析、同系マウスへの移植による腫瘍形成能等の癌幹細胞としての生物学的性状解析を中心的に進めた。そのため、新規治療標的候補遺伝子の生体内ノックダウンの実験は、次年度以降に集中的に推進する方針とした。 当初の計画に沿って、Lgr5陽性脳腫瘍細胞の特性の解析を引き続き推進することに加えて、次年度以降は新規治療標的候補遺伝子の生体内ノックダウンの解析を順次遂行するための研究物品費に主に使用する。従って、方針に大きな変更は生じない。
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