研究課題
基盤研究(C)
プロテアソーム機能の低下が老化形質の一因をなしていると推定されているが、プロテアソーム機能と老化関連疾患の関連性について、独自に作製したプロテアソーム機能低下を示すマウス(β5t-Tg、Tomaru U, et al. Am J Pathol. 2012;180(3):963-972)を用い、①慢性閉塞性肺疾患(COPD)、②神経的疾患(記銘力障害等)の病態メカニズムの解明を目指した研究を推進した。本年度は、①について喫煙負荷実験を行い、β5t-Tgでは野生型マウスに比べ、有意な肺胞破壊や炎症細胞浸潤が観察されることを明らかにした。加えて、肺胞破壊の病態について肺胞構成細胞のアポトーシスに着目した解析を行った結果、プロテアソーム機能低下とタバコ煙の負荷により相加的に線維芽細胞のアポトーシスが誘導されること、アポトーシス誘導にはapoptosis inducing factor (AIF)の発現誘導と核内移行が観察されることを明らかにした。本結果より、老齢期にCOPDが発症する要因の1つにプロテアソーム機能の異常が関与している可能性があること、COPDの予防や治療について、プロテアソーム機能に着目した新薬等の開発が有用である可能性が考えられた。また、②については6ヶ月齢以降のβ5t-Tgの脳神経機能について、詳細な行動解析を行った。その結果、β5t-Tgでは運動量や不安、痛覚等に異常は認めないが、記銘力の低下を認めることを明らかにした。組織学的検討により海馬領域の神経細胞の減少が観察されたことから、現在、プロテアソーム機能の低下と神経細胞の細胞死に着目した解析を進めている。平成26年度は引き続きβ5t-Tgを用いた解析を行うと共に、神経細胞の分離培養によるin vitroの解析を行う予定である。
1: 当初の計画以上に進展している
プロテアソーム機能と老化関連疾患の関連性について、①慢性閉塞性肺疾患(COPD)、②神経的疾患(記銘力障害等)の病態メカニズムの解明を目指した研究を推進した。本年度は①COPDの病態メカニズムに関する研究が順調に進み、現在論文投稿中である。②については、おおむね年次計画通りに進んでいる。
研究計画は順調であり、当初の計画通り推進する予定である。
平成26年度で計画している遺伝子改変動物を用いたアポトーシス関連因子の解析に予算を使用する目的が生じたため。実験試薬、消耗品に使用する予定である。
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