研究課題
プロテアソームの機能異常は、ストレス応答の低下による変性タンパク質の蓄積、タンパク質代謝の恒常性の乱れを生じ、老化や老化関連疾患の原因となることが明らかになっている。本研究では、プロテアソームの機能低下と老化関連疾患の関連性について、独自に作製したプロテアソーム機能低下を示すマウスを用い、加齢により発症リスクが高まる代表的な老化関連疾患である(1)慢性閉塞性肺疾患(COPD)、(2)老年期の神経的疾患(記銘力障害等)をターゲットとした研究を展開した。これまでの進捗として、(1)COPDに関する研究:プロテアソーム機能低下マウスに喫煙負荷を行うことで肺気腫様の病態が誘導されること、肺胞破壊の原因として喫煙刺激による酸化ストレスが肺胞構成細胞のアポトーシスを引き起こすこと、プロテアソームの機能低下が酸化ストレス感受性を亢進させ細胞死を誘導することを明らかにした。本成果を論文にまとめ、実験病理学領域の学術誌であるLaboratory investigationに受理された。(2) 老年期の神経的疾患(記銘力障害等)に関する研究:プロテアソーム機能低下マウスに経時的な海馬神経細胞の減少と記銘力低下を認めること、脳組織で複数のアポトーシス誘導経路の活性化を認めることを明らかにし、研究成果の進捗を学会報告している。
2: おおむね順調に進展している
本年度はCOPDの病態メカニズムに関する研究に関して論文が受理された。脳機能に関する研究も計画通りに進行し、学会報告を行っている。
COPDの研究によりプロテアソームの機能低下は酸化ストレスによる細胞死を過剰に誘導することが明らかとなった。プロテアソームはKeap1-Nrf2経路と連動して酸化ストレス応答に働くため、本経路の病態発症における役割について研究を進める。プロテアソームと老年期の神経的疾患(記銘力障害等)に関しては、現在、海馬における神経細胞障害の病態を明らかにするために、タンパク質分解異常による小胞体ストレスに着目した研究を進めている。
平成27年度に計画している新規マウスモデルの導入に予算を使用する目的が生じたため。
マウス輸送費、飼育料に使用する予定である。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件) 備考 (1件)
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