老化によるプロテアソーム機能の低下はヒトを含む多くの動物種で観察されており,老化関連疾患の病態形成に関与していることが明らかになっている。ストレス応答に働くプロテアソームの機能異常はストレスに対する脆弱性を高め,変性タンパク質の蓄積,細胞老化を引き起こす。マウスモデルによる解析で,プロテアソーム機能低下マウスに短寿命や老化の表現型を認めた。本マウスに高脂肪食やタバコ煙等の環境因子を負荷すると,ヒト老化関連疾患に類似した脂肪代謝の異常や肺気腫を認めた。プロテアソームの機能低下は個体老化の重要な要因であり,様々な環境要因による細胞ストレスが相加的に疾患の病態形成に働くことが明らかとなった。
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