研究課題
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は肝癌などに進行する予後不良の疾患である。我々は、肝機能を制御する核内受容体HNF4αの肝臓特異的欠損マウス(H4-KOマウス)がNASHを発症し、H4-KOマウスにPPARαを欠損させたダブルKOマウスはNASH改善することを見出している。しかし、H4-KOマウスは脂肪酸酸化遺伝子の発現増加にも関わらず、PPARαが発現減少する矛盾を生じたため、脂肪酸酸化遺伝子の発現誘導を解析した。クロマチン免疫沈降の結果、脂肪酸酸化遺伝子のプロモーター中のPPAR結合配列(PPRE)へのPPARαの結合活性がKOマウスで上昇していることが分かった。さらに、PPARαのコアクティベーターであるPGC1αの発現がKOマウスで上昇しているため、その発現上昇機構を解析した。この結果、KOマウスで発現低下しているmiR-194の強制発現によりPGC1αタンパク質の発現が増加することが明らかになった。すなわち、HNF4αの発現低下によりmiR-194が発現減少した結果、PGC1αの発現が上昇し、PPARαの転写活性化を誘導することが示唆された。また、KOマウスにおいて脂肪滴の伸長に関与するCideAの発現が顕著に増加し、ダブルKOマウスでは発現低下することも明らかになった。従って、KOマウスではPPARαの活性化によりCideAの発現が誘導され、KOマウスにおける脂肪肝形成の一因であることが示唆された。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
J Biol Chem
巻: 290 ページ: 30855-30865
10.1074/jbc.M115.694414.