研究課題
GVHDによるリンパ節障害の詳細を免疫学的、組織学的、機能的に解明するとともに、病態形成の細胞・分子機序を解明し、移植後免疫不全の予防・治療法開発の基礎を築くことを目的としている。H26年度までに、マウス同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)モデルの解析から、allo-HSCT後にドナーCD8+ T細胞依存的にリンパ節が破壊されることで、液性免疫不全が遷延すること(LN GVHD)、LN GVHDの主な標的細胞が、線維芽細胞様細網細胞(FRC)と高内皮細静脈内皮細胞であることを明らかにした。H27年度は、CD8+ T細胞によるFRC傷害の分子機序の解析を進め、新規予防・治療法の可能性を検討した。GVHD誘導マウスから調整したドナーエフェクターCD8+ T細胞と、宿主型FRCを共培養する際、FasL-Fas細胞傷害経路を阻害すると、FRCのアポトーシス誘導が有意に減少した。また、FasLの機能欠損CD8+ T細胞をドナーに用いると、急性期におけるFRCの現象と、移植後40日目におけるリンパ節の線維化が軽減していた。これらの結果からLN GVHDの発症にはFasL-Fas細胞傷害経路が重要な役割を果たすことが明らかになった。また、リンパ節へのT細胞の遊走に中心的な役割を果たすケモカイン受容体CCR7ならびに接着因子L-selectinの阻害、およびCD8陽性細胞除去抗体によるLN GVHDの予防・治療を試みたが、いずれの介入においても移植後40日目のリンパ節FRC細胞数の減少ならびに線維化病変に著明な変化を認めなかった。これらの結果から、LN GVHDの予防には、移植片中のCD8+ T細胞の除去が有効であり、またFas-FasL経路の阻害も症状の改善をもたらすことが明らかになった。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Neurotox Res.
巻: - ページ: -
Am J Pathol.
巻: 186 ページ: 579-586
doi: 10.1016/j.ajpath.2015.11.009.
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 470 ページ: 504-509
doi: 10.1016/j.bbrc.2016.01.121.
PLoS One
巻: 11 ページ: e0146592
doi: 10.1371/journal.pone.0146592
Am J Pathol
巻: 185 ページ: 2923-2938
doi: 10.1016/j.ajpath.2015.07.013.
巻: 185 ページ: 2939-2948
doi: 10.1016/j.ajpath.2015.07.022.
http://www.prevent.m.u-tokyo.ac.jp/