研究課題
関節リウマチ患者ではセマフォリン4D濃度が血清中で高く、その濃度は疾患活動性指標であるDAS28、CRP、RF、尿中デオキシピリジノリンのレベルに相関する一方で、末梢血細胞表面ではセマフォリン4Dの発現が低下していることを平成25年度に見いだした。また平成26年度はコラーゲン誘発関節炎モデル動物に対して抗セマフォリン4D抗体を投与する治療実験を行い、セマフォリン4Dの阻害によって関節炎の抑制が得られることを見出した。以上の結果よりセマフォリン4Dは関節リウマチの骨びらんなどに関与している可能性が考えられたが、セマフォリン4Dが細胞表面からの発現低下がある一方で血清中高値となる機序について検討を進めた。関節軟骨の構成成分であるアグリカンコアタンパクを分解する酵素であるADAMTS-4とSema4Dを発現している単球細胞株THP-1とを共培養した結果、他の蛋白分解酵素matrix metallo-proteinase 3 (MMP-3)、MMP-9との共培養の結果と異なり、膜上Sema4DがCD3+、CD14+細胞でsheddingされることが判明した。また、ADAMTS-4は関節リウマチ患者では健常者より血清中濃度が高く、変形性関節症患者より関節液中で高いことが判明した。関節リウマチ患者では細胞膜上Sema4Dが豊富なADAMTS-4によってsheddingされ、結果として滑液、血清で増加していると考えられた。
すべて 2015
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Arthritis Rheumatol
巻: 67 ページ: 1481-90
10.1002/art.39086