研究課題
以前から、CD163ノックアウトマウスを導入し、敗血症モデルや腫瘍モデルでの実験を行っている。敗血症ではLPSを腹腔内に注射し、生存率を観察している。数日で半数以上がショックにより死にいたる。腫瘍モデルでは、LM8やMCA205などの腫瘍細胞を皮下に注射し、その発育や肺転移を観察する。CD163ノックアウトマウスでは、敗血症ショックの感受性が高いことや、IL-1やTNFなどの炎症性サイトカインの産生が増加していた。細胞培養実験でも同様の結果が得られた。CD163ノックアウトマウスでは、腫瘍の発育が抑制されていた。肺転移モデルでは、ノックアウトマウスでは転移巣の数が著しく低下しており、生存率も高かった。以上より、CD163が敗血症や腫瘍発育と関連性があることを突き止めた。ヒトの未分化肉腫を用いた検討では、組織内に多数のCD163陽性細胞数を認めた。CD163陽性マクロファージが多い症例ほど細胞の増殖や細胞分裂像が多く認められた。CD163はマクロファージに特異的に発現する受容体で有り、これまでヘモグロビンハポトグロビンの複合体を認識する受容体と報告されてきたが、我々の研究では、それ以外に未知のリガンドがあるのではないかと考えられた。マクロファージの活性化についても同遺伝子が発現していることで、免疫抑制性の分子などが産生されやすくなるようである。腫瘍モデルに関しては自然発症モデルを使用してみることも検討に入れている。
1: 当初の計画以上に進展している
上記二つの研究とも、H27年度中には一流の英文雑誌に投稿する予定である。CD163ノックアウトマウスでは、腫瘍の発育が抑制されていた。肺転移モデルでは、ノックアウトマウスでは転移巣の数が著しく低下しており、生存率も高かった。以上より、CD163が敗血症や腫瘍発育と関連性があることを突き止めたが、これらは新規の知見である。ヒトの未分化肉腫を用いた検討では、組織内に多数のCD163陽性細胞数を認めた。CD163陽性マクロファージが多い症例ほど細胞の増殖や細胞分裂像が多く認められた。CD163はマクロファージに特異的に発現する受容体で有り、これまでヘモグロビンハポトグロビンの複合体を認識する受容体と報告されてきたが、我々の研究では、それ以外に未知のリガンドがあるのではないかと考えられた。
細かなメカニズムを明らかにし、論文としてまとめる予定である。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)
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