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2015 年度 実施状況報告書

ライソゾーム蓄積病におけるα-シヌクレインの機能と病態への関与

研究課題

研究課題/領域番号 25460500
研究機関横浜市立大学

研究代表者

山口 章  横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (20381585)

研究分担者 山中 正二  横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (80264604)
鈴木 京子  横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (90420679)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードライソゾーム病 / GM2ガングリオシドーシス / ガングリオシド / サンドホフ病 / α-シヌクレイン
研究実績の概要

ライソゾーム病の一つであるガングリオシドーシスは、中枢神経系に先天的に代謝できないガングリオシドの蓄積が起因となり、自己抗体の産生、炎症反応等が引き起こされ、病態が進行すると考えられている。近年我々は、パーキンソン病など他の神経変性疾患同様に病態の進行に関与している事を示唆している。
これまでHexb遺伝子及びaSyn遺伝子欠損マウス(DKOマウス)を作製し、評価した結果、DKOマウスはサンドホフ病モデルマウス(SDマウス)と比較して、寿命や運動能の改善が確認されたことから、aSynの蓄積がSDマウスへの病態の進行に関与している事が示唆された。本年度は、分子レベルでaSynの蓄積がSDマウスの病態の進行にどのように関与しているかを解析した。
SDマウスではオートファジーによる細胞内処理機構が正常に働いておらず、結果として、細胞内に機能不全、若しくは異常な形態をしたミトコンドリアが蓄積し、細胞全体が機能不全を引き起こしている事が確認された。一方、DKOマウスではオートファジーによる細胞内処理機構が正常に働いており、ミトコンドリアの機能低下等がSDマウスと比較して、著しく改善している事が確認された。以上の事から、サンドホフ病におけるaSynの蓄積は、細胞内におけるオートファジーシステムに影響を与え、これが結果として病態の進行に影響を与えている事が見出された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

我々はSD及びゴーシェ病などのいくつものライソゾーム蓄積病において、aSynが神経細胞に蓄積していることを見出していたが、aSynの蓄積に伴う病態等への影響は解明されていなかった。aSynが神経細胞に蓄積していることが確認されているSDマウスを用いた本研究では、aSyn蓄積が中枢神経系における正常なオートファジーの働きを阻害し、且つ、神経細胞内のミトコンドリアの変性(若しくは本来オートファジーシステムにより消化されるべきダメージを受けたミトコンドリアが、SDマウスでは消化されずに残っているため)を促し、mSODの活性が阻害される結果、神経細胞の脂質酸化が引き起こされ、神経細胞が障害を受けていることを見出した。一方、SDマウスのaSyn遺伝子を欠損させたDKOマウスでは、これらの異常が改善されることを確認したが、ロタロッドを用いた運動能の解析では同週齢のSDマウスと比較して改善が見られなかったが、寿命に関しては改善が見られた。以上の事から、SDマウスを用いた本研究で、aSynの神経細胞への蓄積による細胞レベルでの影響、及び病態への個体レベルでの影響を確認することが出来、当初の計画通りに概ね順調に進展した。

今後の研究の推進方策

本研究成果の結果、SDマウスにおいて神経細胞へのaSynの蓄積がオートファジーの正常な活動を阻害し、その結果、細胞レベル、個体レベルでの諸処の異常が引き起こされていることを見出した。一方、SDを含む他のライソゾーム蓄積病で確認され、病態への影響が報告されている中枢神経系での炎症反応へはaSynの蓄積は関与していないことを確認した。SDマウスを用いた研究では、例えばアスピリンなどの抗炎症剤を経口投与することにより、延命効果が確認されている。また、オートファジーの異常が確認されている疾患ではラパマイシンなどのオートファジー促進剤を投与することにより病態の改善が報告されている。そのため、今後は新たな延命治療法の開発としてSDマウスを用いて抗炎症剤とオートファジー促進剤を同時投与するなどし、その治療効果を検証する為の追加実験を行う。

次年度使用額が生じた理由

平成27年度に実験を終了し論文を投稿する予定であったが、論文投稿するにあたり追加実験が必要となり、平成28年度までの延長が必要となった。平成28年度まで延長されることで、新たな治療法の開発を目的とした追加実験を行うことが出来、より精緻な結果を得ることが出来る。

次年度使用額の使用計画

平成28年度の使用計画については、動物飼育費200千円、実験試薬・機器類120千円、論文投稿料80千円を計画している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] サンドホフ病におけるB細胞走化性因子CXCL‐13の役割2015

    • 著者名/発表者名
      川島真人、山口章、鈴木京子、山中正二、青木一郎
    • 学会等名
      第38回日本分子生物学会年会、第88回日本生化学会大会 合同大会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド(兵庫県)
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] αシヌクレインの蓄積がGM2ガングリオシドーシス病に与える影響2015

    • 著者名/発表者名
      鈴木京子、山口章、川島真人、神崎誠一、幸光範子、勝瀬大海、青木直哉、都甲崇、南澤麿優覧、青木一郎、橋本款、山中正二、平安良雄
    • 学会等名
      第38回日本分子生物学会年会、第88回日本生化学会大会 合同大会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド(兵庫県)
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04

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公開日: 2017-01-06  

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