研究課題/領域番号 |
25460502
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
岩渕 和也 北里大学, 医学部, 教授 (20184898)
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研究分担者 |
佐藤 雅 北里大学, 医学部, 助教 (40611843)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | NKT細胞 / MAIT細胞 / 動脈硬化症 / 炎症制御 / 病態モデル / マウス / マイクロアレイ |
研究実績の概要 |
H25年度樹立したCD1d/MR1/apoE triple knockout (TKO)の動脈硬化巣をMR1/apoE double knockout (ここでは単にDKO)の病巣と比較解析することにより以下の知見を得た。①TKOマウスにおいてむしろDKOよりも病巣面積の増大が観察された。②血清コレステロール値は病巣面積に比例せず、TKOマウスよりもDKOマウスにおいてむしろ高値であった。③病巣(大動脈弁輪部)から抽出したRNAを用いたRT-PCRよりTNF-α, IL-6, MCP-1, Nos2の発現が、TKOマウスにおいて増強していた。④TKO胸部大動脈由来mRNAについてDKOマウスとの比較でマイクロアレイ解析を行い、TKO病巣ではSln(sarcolipin), Slc2a5 (solute carrier family 2), Retnlg (resistin-like γ)などの代謝関連遺伝子、Zbtb16 (PLZF), Spp1 (Osteopontin), Cish (cytokine inducible SH2-containing protein)などの免疫関連遺伝子が多く発現していることが見出された。⑤TKOマウスではNKT細胞(CD1d拘束性)・MAIT細胞(MR1拘束性)両者が欠損するはずであるが、少数ながら無視出来ないNK1.1+ T細胞が残存していた。そのTCR-Vβ鎖の使用頻度を調べると、Vβ5+の割合が高かった(野生型マウスではVβ7+、Vβ8+が主)。①~③の結果より、TKOマウスにおける動脈硬化病巣面積は高脂血症以外のメカニズムによって増大していることが示唆された。⑤からTKOマウス病巣進展にはVβレパトアの異なる新規NKT細胞亜群の関与が示唆され、新たに動脈硬化症進展に寄与する遺伝子群の変化が認められることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
達成分:①十分な数のTKOとDKOを準備し、同じ交配から派生した群間で病巣面積の比較を行い、TKO > DKOの関係を明らかにした。H25年度の結果では、DKOの面積を超過しているか否か確定出来なかったため、MAITの抗動脈硬化性に関する予備的な結果のみが得られていた。②TKOとDKO病巣間でmRNA発現に関して差のある遺伝子の候補が明らかに出来た。③TKOに残存するNK1.1+ T細胞亜群のVβ usageを明らかに出来た。 未達成分:④apoE KO (SKO), CD1d/apoE DKO (CD1d-DKO), MR1/apoE DKO (以下はMR1-DKO), TKOを適時・適数自家生産して準備することの難しさからH26年度予定していたMAIT細胞の移入実験が出来ていないこと(CD1d-DKOが出来なかったことによる)。⑤SKOとMR1-DKOの解析から示唆されたMAIT細胞によるNKT細胞の活性調節についてどのようなメカニズムが機能しているか未だ確定出来ていない(交配と選択によりTKOとMR1-DKOに偏り、SKOおよびCD1d-DKOが極端に減少したことによる)。 未達成分は少なくないが、MAIT細胞が欠損している背景(MR1-DKO)にさらにCD1dを欠損させCD1d拘束性のNKT細胞を欠損させたにも拘らず、動脈硬化巣は増大したこと、TKOで残存し、TKO > DKOという動脈硬化病巣の促進に機能している可能性のある新たなinnate T 細胞の存在が明らかに出来たことはプラスである。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度の実験の進捗状況によらず、H27年度に計画した2プロジェクト ①MAITリガンドを用いた動脈硬化巣の進展制御 ②ヒト動脈硬化症性疾患患者におけるNKT・MAIT細胞動態解析 については予定通り研究を行う。 ①についてはリガンドとなるribityllumazine (RL-6-Me-7-OH)が入手可能となったので、MAIT細胞を刺激し、動脈硬化巣の進展過程への影響を調べ得る。②に関しては倫理審査(連携研究者―新たに1名選任予定―外部機関)が通った後に、インフォームドコンセントを得た患者(動脈硬化性疾患、非動脈硬化性疾患)と健康成人末梢血を用いてNKT (Vα24Jα18+)細胞・MAIT(Vα7.2Jα33+)細胞について、まず存在頻度を調べる。有意な相関等が見出せた場合、機能アッセイを加える(抗CD3 mAbクロスリンキング・PMA + Ionomycin刺激によるサイトカイン産生等)。 さらに、③遅れている細胞移入実験を推進する目的でMAITに関してはiPS化したMAIT細胞由来のマウスの導入(北海道大学)を検討する。④マイクロアレイで明らかにされた遺伝子に関して抗体・siRNA他のブロッカーを用いて機能解析を行う。⑤H26年度の研究から明らかとなったTKOにおける動脈硬化病巣の増大メカニズムを解析するため、新たに細胞移入ホストマウスとしてRag1/ApoE DKOの作出(交配による。個々のマウス系統は導入済み)を試みる。このホストマウスにSKO, CD1d-DKO, MR1-DKO, TKOそれぞれからNK1.1+ T細胞をソートして移入する。その後、一定期間高脂肪食・普通食給餌して動脈硬化巣の進展を図った後、標本作製・病巣面積の測定を行い、群間で比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初見込んでいた動物飼育・管理費が少なく(頭数及び飼育日数により)支出されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度動物飼育・管理費に支出する。
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