研究課題/領域番号 |
25460505
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
清川 悦子 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80300929)
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研究分担者 |
吉崎 尚良 金沢医科大学, 医学部, 助教 (00443490)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 細胞形態 / 極性 / 増殖因子 |
研究実績の概要 |
前年度に行った、野生型およびRLCマウス(DOCK5蛋白質が発現していない自然発生マウス)から単離したレンズ上皮細胞を材料としたマイクロアレイによるmRNAの発現パターンを検証するために、レンズ上皮細胞の初代培養法を確立した。生体から取り出し培養することは出来たが、形態的にみて上皮細胞様の立方体は取っておらず、紡錘形を呈した。このような形態は、既存のレンズ上皮細胞株でも観察されることから、E-カドヘリンの発現と蛍光蛋白質を用いた極性形成を調べたが、いずれの細胞でもE-カドヘリンの発現はなく極性形成されていないことがわかった。生体においては、野生型、RLCマウスのレンズ上皮細胞ではE-カドヘリンの発現が見られることから、培養過程で細胞の性質が変化すると結論した。面白いことに、これらの細胞ではDOCK180が発現していた。続いて、マウス眼球の組織切片を作製し観察したところ、RLCマウスでは上皮細胞間の接着は保たれているが、上皮・レンズ線維細胞間の接着が欠失する傾向があることを発見した。同様の所見はDOCK5のノックアウトマウスでも確認している。以上の結果を合わせ、DOCK5の欠失により上皮細胞での増殖因子やサイトカインの産生が変化を受け、それを受け取る線維細胞内で信号伝達に変化が起こり、上皮細胞との接着が弱まるという仮説を立てるに至った。マイクロアレイのデータから分泌蛋白質の情報を抽出し、どの分子が重要であるかの検討を行っている。標的となる分子が定まれば、抗体を購入して生体における発現パターンを検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度と同様に、RLCマウス、DOCK5-ノックアウトマウスの繁殖の効率が悪く、律速段階になっている。その他は当初の仮説とは異なった結果が得られているが、手技的にも問題なく概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
H26年4月から、中国で眼科医として勤務していた者が大学院生として参加し、実験に専念できるため確実に研究が進んでおり、今年度も同じ体制で行う予定である。
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