研究課題/領域番号 |
25460510
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
柳澤 比呂子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 研究員 (60416659)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | オートファジー / ロイシン / ライソゾーム / Spin1 / p62 / mTOR |
研究概要 |
今年度は、ライソゾーム病モデルマウス由来細胞株(573C10)を用いて、血清飢餓、ロイシン添加の有無によるオートファジー動態の解析を行った。 血清飢餓処理により、LC3IIやp62、Spin1の発現量が増加した(WB)。また、血清飢餓処理によりmTORのリン酸化の局在が核膜周囲に観察された(IF)。さらに、血清飢餓処理により、ライソゾームが増大していたが、定量的解析を行うため、メタモルフ解析ソフトを用いて検討した。5%水準で血清飢餓処理と未処理の間に有意差が認められた。免疫細胞化学的染色法により、p62の細胞内凝集が観察され、メタモルフ解析ソフトを用いて定量的解析を行った。ライソゾームの増大と同様、5%水準で血清飢餓処理と未処理の間に有意差が認められた。 次に、血清飢餓下でロイシン添加により、オートファジー関連因子(LC3II、mTOR のリン酸化、p62、Spin1)の局在や発現量の変化、リン酸化等の修飾変化の有無をWBやIFで検討した。血清飢餓処理により増加したLC3IIやp62、Spin1の発現量は減少し(WB)、ライソゾームの増大細胞や細胞内に凝集したp62の減少がみられた(メタモルフ解析ソフト使用)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、ライソゾーム病モデルマウス由来細胞を用いて血清飢餓、ロイシン添加により、オートファジー関連因子の挙動変化を検討する事にしていた。計画どおり、オートファジー関連因子の挙動が確認された。血清飢餓処理により、オートファゴソームのマーカーであるLC3IIが増加し、かつオートファジーの基質であるp62が増加するため、オートファジー不全が想定された。オートファジー不全を証明するために、LC3II turnover assayを行い、LC3IIの分解が抑制されていることを明らかとした。電子顕微鏡を用いて、微細構造を検討すると、正常細胞では見られない大きな構造物が確認された。さらに、マイクロアレイ法を用いて、血清飢餓処理やロイシン添加による変動する遺伝子群を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、血清飢餓処理がオートファジーの不全を導き、ロイシン添加がオートファジーの不全を改善することが解った。現在、マイクロアレイ法を用いて、血清飢餓処理やロイシン添加による変動する遺伝子群を検討中である。リアルタイムPCR法やWB等により、遺伝子発現量の変化を検討する。また、光学顕微鏡で見られたライソゾームの増大した構造体と電子顕微鏡を用いて観察された大きな構造物が同一であるか、解析する予定である。 さらに、ロイシンとSpin1との関係を直接的に検証するためにSpin1が恒常的に発現する細胞株を作成する予定である。 血清飢餓処理とロイシン添加により、関連する候補因子が特定してからSpin1ノックアウトマウスの解析を行う事を計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
論文校正費用として計上していたが、研究結果を精査するには多方面からの検討が必要なため、論文作成に至らなかった。次年度の論文作成を目的とした必要経費である。 次年度は、血清飢餓処理やロイシン添加による変動する遺伝子群をマイクロアレイ法より得られた候補因子について、リアルタイムPCR法やWB等により、遺伝子発現量の変化を検討し、そのパスウェイを明らかにする。そのために研究費の使途としては、分子生物学的解析試薬や細胞培養、画像解析などにかかわる経費を予定している。また、電子顕微鏡を用いた解析を行うために形態学的解析、画像解析などにかかわる経費も必要となる。さらに、ノックアウト動物解析のための動物飼育量が計上される。 研究成果の発表にかかわる経費としては、論文の投稿料、掲載料、カラー印刷代、オンライン公開料、および学会発表のための出張費とポスター作成料などを予定している。
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