研究課題/領域番号 |
25460513
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
赤尾 信明 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00126559)
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研究分担者 |
関 丈典 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60631728)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 広東住血線虫 / IL-33 / 脳脊髄液 / biomarker |
研究概要 |
平成25年度の研究成果は以下の通りである。 1.広東住血線虫3株の実験室内系統維持:これまで我々が国内で採取した広東住血線虫Hawaii株、千葉株、小笠原株についてBiomphalaria glabrataを中間宿主とする実験室内感染系を確立した。これにより、いつでも上記3系統の感染実験を実施することができる体制が整った。 2.広東住血線虫Hawaii株を用いたマウスの病態解析:マウス体内では成虫にまで発育することが出来ず、クモ膜下腔でpre-adultのまま成長を止め、脳障害を引き起こす。本研究のテーマである「広東住血線虫の株間により病原性に相違があるか否か」を証明するには、この脳障害の程度を客観的数値として評価する必要があると考え、感染により惹起される脳障害程度を反映するbrain injury biomarkersを探索することを目的に、BLAB/c雄マウスに40隻の第3期幼虫を経口感染させ,3週後に血液及び脳脊髄液を採取し、以下の結果を得た。 (1) 脳脊髄液中の好酸球数は非感染マウスでは全く認められなかったが、感染マウスでは26.8±3.7%(n=7)と著明な増加が認められた。これは感染マウスにおける末梢血中の好酸球の増加(1.9±1.3%, n=7)よりも有意な上昇であった。 (2) 脳脊髄関門の障害で上昇するといわれるCRPやクモ膜下腔の炎症と相関すると報告のあるIL-6は、感染群と非感染群の間で有意な差を認めることは出来なかった。 (3) 好酸球や好塩基球を誘導することで知られているIL-33は血清及び脳脊髄液のいずれにおいても感染群で有意な上昇を認めた。以上の結果から、IL-33の定量が広東住血線虫感染マウスにおける脳障害の程度を反映する指標となり得ることをを示唆していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.広東住血線虫感染マウス株の実験室内系統維持を確立できたこと 2.非好適宿主に感染させたときの脳障害程度を反映するbiomarkerとしてIL-33が適していることを見いだせたこと。 以上より、2年目以降の研究の進展が見込めると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は以下の項目について研究を行う。 1.免疫組織化学的手法を用いた広東住血線虫感染マウスの脳内におけるIL-33の局在の検討 2.広東住血線虫感染幼虫40隻を経口投与したときの感染経過(感染1週目から4週目)に伴うIL-33の変化 3.感染幼虫数を増減(2~40隻)させた時の脳脊髄液中IL-33の応答 以上をHawaii株を用いて検討し、千葉株、小笠原株広東住血線虫感染マウスとの比較を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
Biomarkersの測定に使用したキットの価格が、当初の予想よりも低かったために請求額との間に差が生じた。 平成26年度では、感染マウスにおけるIL-33のchronological changesやdose-dependencyなど、昨年度よりも多くのマウスや測定キットを必要とするので、平成25年度のような差額は生じないと考える。
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