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2015 年度 実績報告書

病態と連関する広東住血線虫の「株strain」の実験的証明

研究課題

研究課題/領域番号 25460513
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

赤尾 信明  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00126559)

研究分担者 関 丈典  東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60631728) [辞退]
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード広東住血線虫 / 遺伝的多様性 / 病原性 / 好酸球
研究実績の概要

平成27年度(研究最終年度)の研究実績は次の通りである。
広東住血線虫(Ac)5期幼虫が、非好適宿主脳内で死滅していく過程を 組織学的に追跡するとともに、遺伝的多形性を示す3株のAc株でその崩壊過程に変異が見られるかどうかを追究した。
Hawaii株、小笠原株、千葉株のAc5隻をマウスに経口感染させたときの生存率には違いは見られなかった。しかし、Hawaii株と小笠原株では感染18日目までに脳内に移行したすべて生存していた。また25日目の虫体で変性しているものが見られるものの、24%(Hawaii株)から80%(小笠原株)の虫体は運動性を保持して生存していた。一方、千葉株感染マウスの脳内虫体は感染後14日目から運動性を消失し、25日目以降ではすべての虫体は崩壊死滅しており、変性崩壊の過程に千葉株と他の2株の間には明らかな相違が見られた。また、千葉株感染マウスの髄液中の好酸球数は他の2株に比べて著明に上昇していた。変性崩壊が始まる時期の虫体の観察で、虫体の腸管内には好酸球が多数観察されたことから、虫体の崩壊は好酸球による角皮の破壊が先行するという従来の説ではなく、虫体内に取り込まれた好酸球の作用によって内部から崩壊が始まると考えられた。
3年の研究期間内で得られた成果は次のように纏められる。
Ac10隻感染による生存率の比較ではHawaii株は他の2株よりも死亡率が高く、45日目の生存率は0%であったが他の2株は30%程度の個体が生存していた。部分好適宿主であるスナネズミに3株を感染させ45日目の回収虫体を比較したところ、Hawaii株と小笠原株は心臓と肺臓に虫体が移行していたが、千葉株は脳内にとどまったままであった。
以上のように、国内から分離された3株はマウスやスナネズミに感染させることによって、宿主に対する病原性や虫体それ自身の移行態度にも違いがあることが証明された。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件) 図書 (5件)

  • [雑誌論文] Molecular identification of Anisakis and Hysterothylacium larvae in marine fishes from the East China Sea and the Pacific coast of central Japan2015

    • 著者名/発表者名
      Kong, Q. Fan, L. Zhang, J. Akao, N. Dong, K. Lou, D. Ding, J. Tong, Q. Zheng, B. Chen, R. Ohta, N. Lu, S.
    • 雑誌名

      Int J Food Microbiol

      巻: 199 ページ: 1-7

    • DOI

      doi:10.1016/j.ijfoodmicro.2015.01.007

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Loiasis in a Japanese Traveler Returning from Central Africa2015

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi, Tetsuro Hayakawa, Kayoko Mawatari, Momoko Itoh, Makoto Akao, Nobuaki Yotsu, Rie R. Sugihara, Jun Takeshita, Nozomi Kutsuna, Satoshi Fujiya, Yoshihiro Kanagawa, Shuzo Ohmagari, Norio Kato, Yasuyuki
    • 雑誌名

      Tropical Medicine and Health

      巻: 43 ページ: 149-153

    • DOI

      http://doi.org/10.2149/tmh.2015-05

    • 査読あり
  • [学会発表] 遺伝的背景の異なる広東住血線虫分離株感染における非好適宿主脳内虫体の崩壊過程の比較2016

    • 著者名/発表者名
      赤尾信明、石井美里・太田伸生
    • 学会等名
      第85回日本寄生虫学会大会
    • 発表場所
      宮崎市民プラザ(宮崎県宮崎市)
    • 年月日
      2016-03-19 – 2016-03-20
  • [学会発表] 非好適宿主における広東住血線虫の崩壊過程に関する研究2015

    • 著者名/発表者名
      赤尾信明・石井美里・太田伸生
    • 学会等名
      第74回日本寄生虫学会東日本支部大会
    • 発表場所
      LEN貸会議室御茶ノ水ニコライ堂前(東京都文京区)
    • 年月日
      2015-09-26
  • [図書] 今月の表紙シリーズ 糞線虫2016

    • 著者名/発表者名
      赤尾信明
    • 総ページ数
      3
    • 出版者
      医学書院
  • [図書] Qシリーズ 新微生物学「寄生虫症」2016

    • 著者名/発表者名
      赤尾信明
    • 総ページ数
      25
    • 出版者
      日本医事新報社
  • [図書] 感染症専門医テキスト(第2版)「寄生虫感染症の検査」「原虫症感染症の検査」2016

    • 著者名/発表者名
      赤尾信明
    • 総ページ数
      15
    • 出版者
      南江堂(日本感染症学会)
  • [図書] 別冊日本臨牀 新領域別症候群シリーズ No. 32 骨格筋症候群(第2版)「イヌ・ネコ回虫(トキソカラ)症」2015

    • 著者名/発表者名
      赤尾信明 吉川正英
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      日本臨牀
  • [図書] 南山堂医学大辞典「肝蛭、Toxocara属、広東住血線虫、コスタリカ住血線虫、旋尾線虫、東洋眼虫、浮遊法」2015

    • 著者名/発表者名
      赤尾信明
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      南山堂

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公開日: 2017-01-06  

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