研究課題
グラム陽性病原細菌に普遍的に存在する真核型Protein Ser/Thr Kinase (K) - Phosphatase (P)を介するシグナル伝達系の機能と多様性をClostridium perfringens (ガス壊疽菌)をモデルとして解明する。我々は、K-Pが基質膜タンパク質(S)のThr-92のリン酸化調節で、同菌の生育・形態を制御すること、SはClostridium属に特異的に存在し、タンパク質相互作用領域を持つ新規シグナル伝達因子で、新規抗菌薬のTargetとして注目される非メバロン酸経路の酵素IspG、更に細胞壁生合成経路の必須酵素MurFとの相互作用を見いだしている。本年度は、実際の菌体内におけるSとの相互作用を理解するためEGSによるCross-Linking解析を、親株、K-P欠損株、 P欠損株で行った。その結果、リン酸化/非リン酸化Sで形成される高分子体の大きさ/量に相違が認められた。つまり、Sとの相互作用の強さ/タンパク質因子の種類が、リン酸化/非リン酸化型で異なることが予想された。この高分子S複合体をLC/MS/MS解析するため分画の検討を行った。更に、欠損株で認められた形態変化/Sのリン酸化レベルの変化は、野生株の試験管培養時にも見られた。増殖初期には長鎖桿菌の比率が極めて高く(低レベルリン酸化)、増殖の進行に伴い短くなり、正常桿菌→短桿菌→コンマ状短桿菌(高レベルリン酸化)へと変化した。このことから、K の細胞外レセプターのリガンドの1つとして細胞壁の分解物が考えられ、増殖の進行に伴う分解物の蓄積がKの活性化、Sのリン酸化を亢進するものと推定された。しかし、分解物の添加によるリン酸化の亢進は、現在のところ検出できていない。もう一つの可能性として、細胞壁の架橋度をK が感知している可能性があり、現在、蛍光バンコマイシンによる染色観察を行なっている。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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